◎地域便り


西村式オールイン・オールアウトほ育育成舎

愛知県/原田 英雄
 愛知県豊橋市で肉牛肥育経営を行っている西村牧場では、現在約850頭のホルス
タイン種を飼養している。この牧場は毎年県外から約500頭の10日〜20日齢の素牛
を導入しているが、年間の子牛の死亡は3〜4頭というから驚異的である。その秘
密はほ育育成舎にある。

 この育成舎は木造の平屋建てで、南側は開放、採光がよく、風通しも良くなって
いる。北側はカーテン式壁で冬には閉じることができる。ここまではどこにでも見
られる普通の育成舎であるが、秘密は子牛ペン(子牛用の囲い)の構造にある。ここ
で育成されている子牛は決して隣の子牛となめ合ったり、触れ合ったりはできな
い。なぜなら、ペンとペンの間に幅40センチメートル、高さ40センチメートル、長さ
260センチメートルのコンクリート台があり、さらにその上に高さ60センチメート
ルの2枚の板壁があるからである。これが子牛間の病気の伝染を防いでいるので
ある。すべて手作りで、1頭当たりの経費は1万円でできており、極めて経済的で
ある。

 その他、三つの給餌(じ)器(ミルク、乾草、配合飼料用)は、自由に取り外しでき掃
除できる仕組みとなっていること、30日後に子牛は他の育成舎に移動されるが、そ
の時敷料としてのオガクズはすべて取り除かれ、床は消毒され30日間乾燥される
ことなど徹底した疾病防除対策が取られていることなどである。

 子牛ペンは屋内にあるため、外に設置するカーフハッチとは異なり雨にも濡れ
ずにすみ、作業も全般に渡って省力的に行われる。なお、出荷された肥育牛の枝肉
格付けはB3以上が50%以上というすばらしい成績を上げている。


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