愛知県/原田 英雄
愛知県豊橋市で肉牛肥育経営を行っている西村牧場では、現在約850頭のホルス タイン種を飼養している。この牧場は毎年県外から約500頭の10日〜20日齢の素牛 を導入しているが、年間の子牛の死亡は3〜4頭というから驚異的である。その秘 密はほ育育成舎にある。 この育成舎は木造の平屋建てで、南側は開放、採光がよく、風通しも良くなって いる。北側はカーテン式壁で冬には閉じることができる。ここまではどこにでも見 られる普通の育成舎であるが、秘密は子牛ペン(子牛用の囲い)の構造にある。ここ で育成されている子牛は決して隣の子牛となめ合ったり、触れ合ったりはできな い。なぜなら、ペンとペンの間に幅40センチメートル、高さ40センチメートル、長さ 260センチメートルのコンクリート台があり、さらにその上に高さ60センチメート ルの2枚の板壁があるからである。これが子牛間の病気の伝染を防いでいるので ある。すべて手作りで、1頭当たりの経費は1万円でできており、極めて経済的で ある。 その他、三つの給餌(じ)器(ミルク、乾草、配合飼料用)は、自由に取り外しでき掃 除できる仕組みとなっていること、30日後に子牛は他の育成舎に移動されるが、そ の時敷料としてのオガクズはすべて取り除かれ、床は消毒され30日間乾燥される ことなど徹底した疾病防除対策が取られていることなどである。 子牛ペンは屋内にあるため、外に設置するカーフハッチとは異なり雨にも濡れ ずにすみ、作業も全般に渡って省力的に行われる。なお、出荷された肥育牛の枝肉 格付けはB3以上が50%以上というすばらしい成績を上げている。元のページに戻る