◎地域便り

繁殖雌牛50頭規模を目指した新規参入

鹿児島県／穎川 (えがわ)　隆

　鹿児島県姶良郡蒲生町 (黒毛和種飼養農家数110戸､ 飼養頭数400頭) の原田健
一さん (29歳) は､ 母牛50頭規模を目指した繁殖経営を平成８年に開始した｡ 原
田さんは同町の出身で､ 県立農業大学校を卒業後､ 民間の人工受精所で３年間､ 
大規模和牛生産法人で６年間人工受精師として腕を磨き､ 自らの経営の夢を実現
するためふるさとへ帰ってきた｡ 

　農業改良資金の中の青年農業者等育成確保資金 (経営開始資金) を1,700万円
借入れ (無利子､ ５年据置き､ 12年償還)､ 480平方メートルの畜舎とたい肥舎の
建設も行った｡ 施設用地は､ 平成５年８月に鹿児島を襲った水害の復旧工事用に
土が採取された丘の上の町有地を､ 年６万円で借り受けている｡ 

　現在の繁殖雌牛の飼養頭数は､ 父親から譲り受けた12頭と制度資金で導入した
22頭を合わせて34頭であるが､ ４年後を目標に50頭まで飼養規模を拡大する計画
である｡ さらに､ 将来的には100頭まで拡大する夢も抱いている｡ 

　良質たい肥の生産に努め､ 稲作農家とのイネワラ交換による粗資料確保や､ 人
工受精師として地域全体の受胎率向上にも貢献するなど､ 早くも地域にすっかり
溶け込んでいる｡ 

　町､ 農協及び農業改良普及センターが全面的な支援を行っており､ 原田さんの
新規参入により町の繁殖雌牛の飼養頭数が一挙に１割増加し､ 町の明るい話題と
なっている｡ 今後､ 原田さんの成功の姿を見て､ 後に続く若者が次々と現れ､ 地
域が活性化することが関係者の願いとなっている｡

【母牛50頭の繁殖経営を目指す原田健一さん】

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