◎地域便り


沖縄畜産研究会の開催

沖縄県/玉代勢 秀正
 平成9年9月5日、 琉球大学農学部で、 第33回沖縄畜産研究会が開催された。 

 当研究会は、 昭和40年11月に発足して以来、 30年余の歴史がある。 その
前身は昭和40年春にできた畜五会 (肉用牛、 乳用牛、 豚、 鶏、 山羊の5畜種に
たずさわる県内の畜産技術者の懇談の場) である。 当時の先輩方の畜産振興に係
わる苦労を知る由はないが、 その気概は、 当研究会を1年も欠かすことなく開催
してきたことからうかがわれる。 現在、 239人の会員を擁しており、 会員皆が
そのスピリットを引き継いでいる。 

 当日は、 招待講師による2題の特別講演と、 会員による5題の一般演題の発表
があった。 沖縄県の畜産共進会 (枝肉部門) と日時が重なったにもかかわらず、 
多数の会員や学生が参加し、 熱心な質疑応答が交された。 

 九州大学甲斐 諭助教授による 「我が国の肉用牛経営における今後の戦略」 と
題する特別講演は、 国内外の畜産物の生産需給動向を背景とした、 肉用牛産地の
経営体のあり方を示唆するもので、 畜産経済の第一人者である先生の講演は、 聴
者に貴重な知見を与えたと思われる。 

 特別講演のもう一題は、 仲宗根一哉氏による 「牧草貯蔵中の発熱に伴う銅の可
溶性と反すう家畜における利用性」 と題するもの。 氏は県畜産試験場の元職員で、 
平成元年頃に、 県内のスチール気密サイロ利用農家で多発していた、 舎飼牛の被
毛の退色、 下痢、 生理機能の不調の原因が、 貯蔵粗飼料のヒートダメージによる
‘銅’の不溶性にあることを究明し、 博士号を取得している。 今回の講演は、 そ
の成果を述べたもので、 実用的なものであった。 

 本県は、 他県とは異なる自然条件下にあり、 例年、 当研究会における会員から
は、 草地・飼料作物や家畜の暑熱対策の問題等、 主に地域に根ざした諸課題が発
表されている。


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