高知県/松岡 武男
(社) 高知県畜産会では土佐和牛消費拡大のための新しい試みとして、 県内に ある短期大学の食物栄養科の学生を対象に、 肉用牛施設等の現地研修と土佐和牛 の試食会をパックにしたバスツアーを11月中旬に実施した。 この様な企画は従 来、 一般家庭の主婦等を対象に産地と消費者の交流を図るため行ってきたが、 今 回は近い将来、 県内各地で消費者組織のリーダーとして、 あるいは家庭の主婦と して直接牛肉消費に関与することが考えられる学生に肉用牛に関する知識と理解、 土佐和牛の安全性とおいしさを充分に認識してもらうことを狙いとした。 将来を 見越した、 いわば先行投資といえよう。 愛媛県との県境にほど近いJA津野山管内にある家畜市場で地域の肉用牛概況等 について説明をうけ、 肥育施設で愛くるしい土佐和牛とのスキンシップを楽しん だ一行54名は、 標高1,200メートル前後の景勝地である四国カルスト高原 で、 土佐和牛のバーベキューに舌鼓を打った。 畜産会で配布したアンケートや感想文の中から拾ってみると、 牛を初めて見た という回答が8名もあった。 肉を選ぶ場合に、 何を最も重視するかに対しては安 全性63%、 味20%、 価格17%であり、 昨年のBSEあるいはO−157騒動以 来、輸入肉は買わなくなったという注つきの回答も見られた。 感想文の中には「牛 肉は輸入肉の方が価格も安くて経済的ではあるが、 安心して食べられる国産牛肉 を購入している。 でも、 どういう種類の牛かという点までは気をつけていない。 今日の牛肉は、 とても柔らかく、 おいしかったので、 これからは土佐和牛を買う 様に母とも相談したい。 ただ、 近くのお肉屋さんでは土佐和牛は扱っていないの で、 どの店でも買えるようにしてほしい」 というものもあり、 実際に肉用牛関係 施設を見学し、 安全でヘルシーな土佐和牛を理解してもらうための催しを度々行 う等の地道な努力の積み重ねが今後も必要と思われる。元のページに戻る