◎地域便り


新しい豚「TOKYO-X」登場

東京都/中島 信夫


 平成 9 年10月 9 日、農家で肥育された肉豚「TOKYO-X」が初出荷された。

 TOKYO-Xとは、東京都畜産試験場で系統造成された高品質系統豚「トウキョウX」
を素豚として、一定の飼養基準の下に農家で肥育した肉豚である。トウキョウXは、
バークシャー種、デュロック種、北京黒豚を掛け合わせて、それぞれの良い所を
取りだして、美味しい豚を作るという発想で系統造成された豚である。

 このトウキョウX豚を利用して養豚経営の基盤を固めたいという生産者が集ま
り、東京都高品質系統豚生産出荷組合を平成 8 年の11月に設立し、都の東京SaB
AQ活性化ガイドラインに沿い、健康で美味しい豚肉を消費者に提供しようという
取り組みを開始した。東京SaBAQ活性化ガイドラインというのは、Safety(安全性)、
Biotics(生命力学)、Animal Welfare(動物福祉)、Quality(品質)の頭文字
から取った言葉である。これは、家畜を快適な環境と飼養管理下に置き、病気の
発生や事故を防ぎ、家畜本来の能力を十分に発揮させることを目的としている。

 これを基に、組合員の協議で、TOKYO-X豚の飼料を選定し、飼養管理に関するガ
イドラインと衛生管理プログラムを作成し、生産が行われる。

 飼料については、抗菌性物質等を含まないものであることはもちろん、トウモ
ロコシも輸出の際に農薬処理をしていないポストハーベストフリーで、遺伝子組
み換え作物でないものであること、ビタミン、ミネラル等補助栄養物の給与もで
きるだけ天然の物を利用するようにすることを決めている。また、脂肪交雑率が
高いというTOKYO-Xの特性を生かすため、飼料配合割合は低カロリーとして、適度
に脂肪の乗った美味しい肉になるように考えた。

 衛生管理プログラムは、繁殖豚、肉豚についてそれぞれ設定し、万一使用した
場合の休薬期間についても、法定の 2 〜03 倍に設定して実施することなどが決
められている。

 飼養管理に関するガイドラインでは、家畜のストレスを軽減する管理を目指し、
飼養規模を適正に保つこと、家畜にとって快適である環境を整備すること、さら
に周辺環境の保全に留意した飼養管理を心掛けることなどを一般的な飼養管理の
注意点に加えて盛り込んだ。

 この新しい取り決めに沿って、組合員は、消費者に喜んでもらえる、健康で美
味しいTOKYO-Xの供給を目指して努力している。

【農家で肥育中のTOKYO-X】
 

【TOKYO-Xは、都内の百貨店等で販売されている】

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