◎地域便り


さがみこファームフェスタ'98開催

神奈川県/川西 隆智


 神奈川県の北部、森林と湖に囲まれ風光明媚な自然郷、相模湖町は県内でも有
数な酪農地帯であったが、この地域も高齢化が進み後継者不足も相まって、現在
では数戸が残っているに過ぎない。以前は畜産共進会も盛んで多くの精鋭牛がそ
の美を競い合ったが、次第に出品牛も減少し、現在では共進会そのものが取りや
めになった。この様な農業の衰退に危機感を抱いた若手を中心とする酪農家4人
が、共進会に代わるものとして、また、地域農業の活性化と都市住民との交流を
図る場として3年前から始めたのが「さがみこファームフェスタ」である。この
フェスタの特徴は、企画、運営ともに農家自身が推進していることだ。家畜保健
衛生所、農協等の関係機関はあくまでも道案内等のお手伝いという基本形態が成
り立っている。主催者の酪農家 4 人の考えが大きく反映されている。

 本年は「牛さんと遊ぼうモーモーウォーキング」と銘打ち、11月3日に開催さ
れた。当日は、多少気温が高かったが、100名近い参加者は、約 8 kmのコースを
徒歩で巡り、酪農家4戸を訪れた。モーモークイズや乳搾り、子牛への哺乳作業、
搾りたて牛乳の試飲等を楽しみ、最後には大根、ニンジン、サツマイモ等の野菜
掘り、トラクターに牽引されたトレーラーバスの試乗等を体験して秋の1日を存
分に満喫していた。

 地元の人達だけでなく、横浜、川崎等からの参加もあり、普段動物を間近に見
る機会のない人たちには特に好評のようであった。さすがに家族連れが多く、中
には乳母車に赤ちゃんを乗せての参加もあり、大変なごやかな光景でもあった。

 現在、畜産環境を取り巻く情勢は厳しく、臭い・汚いとの理由で廃業にまで追
い込まれる農家も多い。都市住民とのふれあいを求めたこのような企画が、酪農
経営の楽しさ、そして厳しさを理解する機会となれば幸いである。

 

【牛さんと遊ぼうモーモーウォーキング】
 
【酪農家を訪れる家族連れ】

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