愛知県/小林 一雄
豊橋市では89戸、1万1,400頭の肉牛が飼養されている。豊橋農業協同組合では、 比較的規模の大きな内用牛肥育農家で肉牛部会を組織し、様々な活動を行ってい る。これらの農家は規模は大きいが家族労働が多く、休日が取れない状況であっ た。一方で市内の酪農農協にはヘルパー組合があり、よく活用されているという。 これを聞いて、豊橋農業協同組合肉牛部会でもその設立気運が高まり、本年度の 4月の第1回肉牛部会全体会において、愛知県内初となる肉用牛ヘルパー組織の 発足を決め、ヘルパー事業運営規定を承認した。 組織の正式名称は「豊橋農協肉牛ヘルパー研究会」。部会の中に研究会として 設置された。事務局は豊橋農協営農二部畜産課に置かれている。 事業目的は肉牛飼育の年中無休の労働を緩和し、労働対策の改善と相互扶助を 図るとともに、肉牛経営の安定と生活の合理化を図ることとしているが、主な業 務は給餌・哺乳である。 ヘルパー依頼希望者は、10日前までに、牛群別の給餌方法等を記入した書類を 添付して申し込む。利用料金は肉牛50頭単位で5,000円/日となっている。 ヘルパー要員は肉牛ヘルパー研究会員のなかから労働力に余裕のある肉牛農家 の後継者 4 人が臨時ヘルパーとして登録されている。 この研究会の発足前にも、豊橋農業協同組合肉牛部会の会員の農家の火事や葬 儀等の緊急事態に対しては、無償で他の部会員や農協職員が労働提供する形がで きていた。しかし、それ以外の労働提供を求める方法がなかった。この研究会が 発足したことにより家族全員の遠出の一泊旅行や海外旅行に利用した人もおり、 家族、特に子供が喜んでいるとのことである。部会長によれば、互助会的な性格 のヘルパー組織で専任職員がいないので強制的に利用してもらう必要はない。気 楽に考えてもらえればよいが、まだ発足したばかりで理解されていない部分もあ るので活動してもらうようPRしてきたいとのことである。