◎今月の話題


日本の畜産業の健全な発展のために

農畜産業振興事業団 理事長 塩飽 二郎







 平成11年を迎え、新春のお慶びを申し上げます。年頭に当たり、ひとことご挨
拶を申し上げます。

 昨年を顧みますと、金融、雇用等経済状況は一昨年に引き続いて誠に厳しいも
のがありました。景気の低迷の影響もあって、牛乳・乳製品、牛肉、鶏肉等多く
の畜産物の消費は伸び悩みの傾向が続きました。

 そういったなかで、平成9年4月に内閣総理大臣から諮問を受けた「食料・農業
・農村基本問題調査会」の答申は、 1 年以上の審議を経て、9月に行われました。
答申では「我が国における食料・農業・農村のあり方を、国民全体・国土全体の
問題として緊急にとらえ直さなければならない」との認識の下に、我が国農業の
食料供給力の強化、農業・農村の有する多面的な機能の十分な発揮、地域農業の
発展に向けた基本的な考え方が示されております。その後、答申を踏まえ、政府・
与党・関係団体間で精力的な議論がなされ、12月には農林水産省において「農政
改革大綱」が取りまとめられました。この中では各種価格政策の見直しや、所得
確保対策の導入といった新たな施策の具体化のためのプログラムも示され、また、
これらの着実な推進に向けて「新基本法農政推進本部」が設置されました。この
ように、今年は我が国畜産業にとって転機となる重要な一年になると考えており
ます。

 創刊以来10年目に入る本誌「畜産の情報」を中心とする当事業団の情報収集提
供業務につきましては、これまでも的確かつ迅速な情報提供を心がけて参りまし
た。今後も、畜産物の適切な価格形成や畜産経営の体質強化に結びつく情報を充
実するとともに、活字メディアだけでなく、インターネットや通信衛星などの新
しいメディアをも総合的に利用して、より広く、より深くと、一層の充実を図っ
て参りたいと考えております。

 海外の情報収集につきましても、国際化の進展に対応して、これまでの4都市
(シドニー、デンバー、ブラッセル、シンガポール)に加え、ブエノスアイレス
に海外駐在員を置き、南米諸国を含めた世界の情報を、より的確に提供していき
たいと考えております。

 本年も、わたくしどもは課せられた任務の遂行にあたり、役職員一同、心を新
たにして、日本の畜産業の健全な発展のために努力して参りますので、なお一層
のご指導とご協力を賜りますようお願い申しあげますとともに、皆さまのますま
すのご健勝とご多幸を祈念致しまして、年頭の挨拶と致します。

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