岩手県/田野島 淑江
胆沢郡金ヶ崎町にある乳用牛哺育・育成センターは、岩手県の南方、駒ケ岳山 麓に位置し、昭和45年から農業協同組合(現岩手ふるさと農協)が事業主体とな って預託事業を実施しており、町内の酪農家の哺育・育成部門を担ってきた。 当センターは、放牧地35ha、採草地30ha、計65haの草地を活用し、生後10日前 後の哺育時期から受け入れを行い、管理は夏期と冬期を通じ、所長以下、酪農経 験2年目を迎える女性職員2名を加えた計5名で行っている。平成8年度には、ふん 尿処理等の環境対策と併せて、飼養管理の効率化と育成成績の向上を図るため、 約2億円の事業費で、畜舎や堆肥舎等を移転新築し、クリーンな環境のもとでの 管理を目指してきた。 新施設では、明るく快適な環境の中、粗飼料の食い込みが良好で、足腰の強い 雌牛が育成されており、初回種付け月齢が約1カ月早まるなど、酪農家から大変 喜ばれている。 預託頭数については、9年度には210頭、10年度には240頭と収容頭数上限まで の預託実績となり、今までの職員の育成技術の実績が認められたものと関係者は 喜んでいる。また、10年度に収支が黒字になったことに伴い、11年度からは、預 託料金を540円/日から500円/日に下げることにしている。 さらに、今年度からの新たな試みとして、近年検討してきた牧場の広域利用を 実施する予定である。預託範囲は、当面、広域農協の範囲である金ヶ崎町を含む 5市町村から受け入れることとした。 なお、近隣に、飼料供給センターや堆肥センターの設置を予定しているため、 地域酪農の拠点となるよう整備を進めることとしている。 今後は、預託頭数が増える見込みであるため、草地整備の実施や回転率を上げ られるように、関係機関で検討を進めるとともに、各農家が引き取った後の産乳 能力を追跡調査し、育成技術のますますの研鑚を図っていきたいとしている。酪 農家の情報交換の場となるよう努めたいと意欲満々である。
【優秀な牛づくりで、領託料引き下げへ、 乳用牛哺育・育成センター】 |
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【広い牧場で、のびのびと清潔に】 |