鳥取県/山崎 和夫
鳥取県畜産共進会の肉牛部門で東伯郡のJA東伯の肥育農家が、平成7年以降連 続して農林水産大臣賞(グランドチャンピオン)を受賞し、注目されている。 東伯町は県のほぼ中央、地味豊かで、ナシ、シバの栽培が盛んであり、酪農、 肉牛、肉豚、ブロイラーなど畜産についても力を注いでいる。 JA東伯町では、おいしい肉牛づくりを目指し、8つの肥育牛団地で、肥育農家 28戸の牛常時6,000頭(和牛と乳牛約半々)を飼育している。 「うちの町では、@大きな枝肉、A鮮かな肉色で、Bサシが入り、Cうまみの ある脂肪がのった肉づくりを目指しています。うちの組合の牛肉がおいしいのは、 まろやかなうまみを出す脂肪のおかげですよ。」と肥育牛担当の営農指導員が自 信満々に話す。 肥育部では、種々検討の上、矢下集落に設けた試験展示牧場で技術開発に取り 組み、2年がかりで得られた結果を農家へ普及するシステムをとっている。 開発された指定配合飼料「和牛配合」及び「ホルスB」は、組合員全員が全面 的に信頼をおいて給与しており、肥育成績の向上に努めている。今までに和牛用 は3回、乳牛用は1回の改訂を加えている。このように、乳牛は東伯牛、和牛は東 伯和牛として銘柄確立を目指している。 7年と10年に県のグランドチャンピオンに輝いた高増順一さん(41)は畜産指 導員としてJA東伯に11年間勤務後、「牛飼いは人にやらせるものでなく、自分 でやるもの」と3年に退職して、切石団地へ入居、肥育経営(和牛200頭、乳牛 100頭)に専念している。 高増さんに肥育のポイントを聞くと、「うちはよそと別に変わったことは、や っていません。飼料は同じものですが、ただ朝8時と午後3時半に年間を通して定 時にやっています。また、飼料は必ず計量して給与、残飼は掃除しております。 濃厚飼料と粗飼料の混合給与は厳禁です。水槽は清潔に保ち、新鮮な水を飲ませ るよう気を使っています。飼料給与後の見回り、観察は成否のポイントとして心 掛けているところです。」とのことであった。 山下邦彦さん(54)と弟の山下卓夫さん(51)は一産どり肥育に挑戦している。 労力に余裕のある経営でないと取り組めないという。兄である邦彦さんは、大成 団地で和牛が300頭、乳牛100頭を肥育している。また、妊娠鑑定済みの和牛の雌 をJA東伯繁殖センターから、購入して、現在52頭飼養している。生れた子牛の離 乳を早め、人工哺育をすることがこつとのこと。 東伯町の和牛肥育素牛は、沖縄が主体で若干を南九州から導入している。乳牛 については、主に北海道から導入している。 肥育経営は今後も厳しい状態が続くと思われるが、JA東伯町では、たえず試行 錯誤を繰り返しながら、組合員が団結し、優良牛の生産に努めたいとしている。
【8つの肥育団地の1つ、大成団地】 |