広島県/仙波 豊三
期待どおりの好成績と言いたいところであるが、思いがけない上物の続出で地 元神石郡の肉用牛農家は興奮にわいた。昨年10月13日にJA神石郡が経営する肥育 センターが初出荷した肉牛 6 頭のうちA5 が 2 頭、A 4 が 3 頭、A 3 が1頭と いう成績で、これを見学した地元関係者をはじめ、指導したJA広島経済連の技術 者も大喜びした。 広島県は平成8年度に約4億円を投じて肥育牛飼養規模300頭の拠点施設を 20 地区に設置、 1 つはJA広島経済連、もう1つはJA神石郡が経営している。神石郡 は、県内では比婆郡と並び称される和牛の繁殖地域で古くから良牛を産し、県内 外で評価されてきた。しかし、業界が肉質重視の転換をしたことに対し、敏速な 対応ができず、出荷子牛価格が低下するに至った。今後、肉質改良を促進するた めには、優秀な種雄牛の系統造成を図ることはもちろん、繁殖雌牛の能力改良が 不可欠である。そこで、地域内に肥育施設を設け、地域内の雌牛の能力情報を集 積することが第一と、国、県の助成を受けて肥育センターが設置された。雌牛の 産子の肥育成績をもとに地域の繁殖雌牛の選抜淘汰を進める。しっかりとした上 質肉生産遺伝力の裏付けのある広島牛の素牛供給を図って、和牛生産地としての 生き残りをかける取り組みが緒についたわけである。 その後の出荷状況を見ても初出荷に劣らぬ成績であり、改めて生産地としての 自信を持ち、一層優秀な広島牛の繁殖基盤の確立に意欲を燃やしている。
【肥育センター全景】 |
【300頭規模の肥育牛舎】 |