◎地域便り


稲作農家との連携で粗飼料の完全自給    

兵庫県/山口 和光


 兵庫県多可郡黒田庄町の三谷康さん(61)は、昭和41年に但馬牛の本場の美方
郡から、規模拡大を目指して、現在地に移住した。

 当時から、黒田庄町は和牛同志会を結成する等、肥育牛の熱心な町であった。
現在は多頭化グループ19名で約1400頭の兵庫県産和牛を肥育している。出荷牛は
県内はもちろん、県外でも黒田庄肉として、高く評価されている。

 三谷さんは奥さん(61)と2人で肥育牛80頭、水稲3.25haの複合経営を行って
いる。

 三谷さんの経営の特徴は

 @粗飼料の完全自給:当地は酒米で有名な山田錦の産地で、自家を含めて約13
haの稲わらを確保している。農機具代と賃金を含めて、乾燥稲わら1kg当たり約
25円になる。農家がコンバインで刈り落とした稲わらを三谷さんがヘイベイラー
で2回程度反転乾燥し、集積、梱包して収納する。収納は3人の息子さんが休日に
手伝う。稲わらの交換条件として、稲作農家に10 a 当たり2〜3トンのたい肥を
散布している。

 その他に、当地では良い乾草ができないために、約60 a のソルゴーを栽培し、
秋以降立ち枯れになるまで放置して、枯草として牛に給与している。これで粗飼
料は完全自給である。

 A素牛の導入は、前年度の肥育牛の平均販売価格から5万円引きその半額を子
牛価格の最高値と決めている。それ以下の価格で導入し経営の安定化を最優先に
している。肥育牛が予定より高く売れればボーナスだと考え、そのボーナスも度
々あるらしい。昨年は県共進会で名誉賞に入賞し、農林水産大臣賞を授与され長
年の苦労が報われたと非常に喜んでいた。

 B積極的にグループ活動に参画

 同志会に入会し、積極的に世話役を務め、現在は会長も2期、8年間務めている。

 グループ活動として、高品質牛肉の出荷(ブランド化の推進)、素牛の計画導
入、肥育牛の計画出荷および稲作農家との密接な連携(約160haの稲わら交換)
等々がある。組織をまとめ地場産業として、肥育経営を確立してきた。

 牛舎内にはハエもいない。整理整頓が行き届き、牛ふん尿はたい肥舎でたい肥
化に努め、牛舎の周辺には花木が植栽され、環境保全にも留意している。

 今後も健康に留意され、ますます地域の発展と兵庫県産和牛の振興に寄与され
ることを期待している。
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【清潔な牛舎で牛も満足】
 

 

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【花に囲まれた牛舎周辺】

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