◎地域便り


岡山の養豚の明日を夢見て      

岡山県/神原 啓


 岡山県の養豚といえば奈義町、その中にあって常に本県養豚界のリーダーシッ
プをとっているのが(有)協和養豚である。社長の黒籔光廣さんに待望の後継者、
忠章さん(28)が大学(商経学部)を卒業と同時に父を越えることを夢みて経営
に参画して5年になる。

 今はまだ父に教わることばかりだと言うが、子取り用雌豚200頭(LW150頭、バ
ークシャー50頭)のほか地域の子豚生産者との子豚契約取引で常時肥育豚3,500頭
の地域内一貫経営を実践し、肉豚は大阪食肉市場、岡山食肉市場へ出荷し「奈義
協和」のブランドで高い評価を得ている。

 また、これからの養豚はゆとりと消費者とのコミュニケーションが重要という
信念から、父とともにふれあい広場「風の村」を整備、馬4頭(簡易な乗馬体験が
できる)ダチョウ3羽および鶏(赤玉鶏)200羽を放し飼い(卵は自販機で販売)、
ハーブを植栽、絶え間ない来訪者の好評を得ている。豚舎も希望があれば見学で
きる。従来、養豚経営者は防疫衛生上から人の出入りを禁止しているところが多
いが、消費者に養豚の現場を見てもらうことの方が大切であるとの考えから入場
を拒まない。

 経営で特筆すべきは、県が推進している黒豚の振興に尽力し現在子取り用雌豚
50頭を飼養、消費者の喜ぶ黒豚肉生産に意欲的に取り組み、各種イベントや季節
的に黒豚ハム、ソーセージ等を手作りし、「おかやま黒豚」のPRに努めている。

 まだまだ、「おかやま黒豚」の知名度は低く流通面の整備が急務であるが、今
後も黒豚の増頭に意欲をみせる。
 忠章さんの育てた黒豚肉が県内の食肉店で購入できる日が楽しみである。

 ふん尿処理は、黒籔さんらの働きかけで完成した奈義有機センターで牛ふんと
ともに発酵処理され「高原有機」の名称で耕種農家等で活用されている。

 尿等の汚水は、活性汚泥法により処理し、豚舎の洗浄水、豚舎周辺の美化に活
用し草花を植栽して四季をとおして美しい花が楽しめるなど、養豚のイメージア
ップに力を入れている。

 岡山県の豚の飼養戸数は70戸、飼養頭数は3万6千頭、1戸当たりの飼養頭数は
513頭で、繁殖農家を中心に高齢化が進んでいる。

 しかし、養豚経営の効率化の追求にとどまらず、地域や消費者とともに発展で
きる養豚を目指して、黒籔さん親子は力を合わせて頑張っており、子取り用雌豚
300頭以上に規模拡大を計画中の忠章さんには若者らしいアイデアを生かしなが
ら父を越える経営者、リーダーとなってほしいものである。

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【ふれあい広場風の村 入口付近】

【人気者のダチョウ】

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