◎地域便り


肉牛5千頭の大規模牧場が実現    

広島県/仙波 豊三


 平成11年11月5日、福山市の株式会社なかやま牧場が創立29周年記念パーティ
ーを開催した。従業員と関係業界の合わせて300名を招いて開かれた。

 中山畜産農場から、流行の平仮名に名称変更して4年がたつ。中山伯男代表取
締役社長(72)は、「その間、非常に苦しい時期もありましたが、今年は、トン
ネルの先に灯が見えるようになりました。」と挨拶した。

 この牧場は、昨年度から肉用牛の常時飼養頭数が5,000頭を超す規模となった。
中山社長の牛にかける情熱と手腕、そしてその先見性と実行力で、必ずしも立地
条件が好いとはいえない傾斜地をうまく活用し、悪い土壌も牛ふんの投入で改良
するなどして、大規模牧場を実現してきた。

 経営は生産部門から食肉の販売まで行っており、今では福山市内にスーパーマ
ーケット「ハート」を4店舗展開し、生産牛肉の25%は直販している。従業員は、
生産部門から販売部門までで、正社員127名、パート126名である。

 牛肉の生産から販売まで一貫した経営によって部門相互の採長補短を図り、同
時に生産コスト管理に対する部門間の厳しい注文が経営全体を引き締めてもきた。
肉用牛経営は今後も厳しさを増すことが予測されるが、充分に対応できると自信
をのぞかせる程である。

 現在飼養している5,000頭の内訳をみると、黒毛和種約1,500頭(うち繁殖牛約
80頭)、和牛F1約1,200頭、日本短角種約100頭(岩手県産)、アバディーンアン
ガス種約30頭(オーストラリア産)、残りの約2,000頭余が乳用種である。いわ
ば乳用種の肥育に軸足を置いて、安くて良い商品になるものは積極的に取り入れ、
実地に研究している。黒毛和種であれば、A3、A2等級、乳用種であればB3等
級程度を中心に、大衆的な価格のおいしい牛肉を生産している。

 なかやま牧場の周辺には、5戸の農家が社長の指導の下で肉用牛の肥育専業で
自立しており、地区内合わせて7,000頭の肉用牛団地が展開している。

 創立30周年に向けて、さらに着実に発展することを祈るものである。
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【傾斜地に段々をつけ、牛舎を建設】

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【なかやま牧場を中心に一大畜産団地に!】

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