埼玉県/吉田 宣夫
国民1人当たりの割りばし使用量は年間192ぜんという驚きの数字。その94% が輸入品で、ほとんどが中国産のシラカバなど広葉樹材である。これらの材は微 生物分解が早い特徴があり、工夫すれば色々なところで再資源化ができる。 埼玉県農林総合研究センター畜産支所では、嵐山町のMファーストフード店工 場、児玉町のきのこ生産家永尾さん(48)、岡部町の養豚家井田さん(44)を結 んで、使用済み割りばしの再利用を検討しているが、3者ともに評価が高い。 まず、回収・粉砕された割りばしチップとシメジの廃菌床を4対6で混合し、豚 の敷料(発酵床)として3カ月間利用した。通常の床資材とくらべて発酵温度は 高く推移し、豚の汚れも少なく、発育も同じ程度であった。3カ月後の資材の組 成は有機物分解が順調に進み、敷料中のヘミセルロース、セルロースが減少し、 相対的にリグニンと灰分含量が増加する良好なたい肥発酵パターンを示し、臭い も少なかった。さらに、取り出した発酵床を6カ月間たい積し、たい肥化したと ころ推奨基準を満たしていた。 さらに、割りばし回収→きのこ生産→廃菌床の畜産敷料の循環を組み立てるた めに、きのこ生産用培地の資材適性を試した。割りばしチップと栄養剤、針葉樹 チップと栄養剤のそれぞれ8対2の培地を作って、ヒラタケ生産を行ったところ、 ワリバシチップ培地は、針葉樹培地の2.5倍のきのこ収量があった。さらに、ブナ シメジやエリンギで培地の針葉樹部分を割りばしチップに置き換えてみたところ、 きのこ収量は優るとも劣らないものであった。 現在は、まだ実験的な段階であるが、有効な資源活用につながることから、コ スト面、流通方法を含めて検討を進めているところである。
【豚の汚れも少なく順調に発育】 |
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【割りばしチップ入り培地で 生育したブナシメジ】 |