神奈川県/根本 勝男
川崎市内の酪農家福田努さん(45)は、子牛や子豚、ポニーなどの家畜を幼稚 園などに出向いて展示する「移動ふれあい牧場(動物園)」を開いて、子ども達 に人気を集めている。都市化が進んだことから、福田さんの兄である長男は県外 で大規模酪農に踏み切った。しかし、次男の努さんは、地域から家畜が去り、マ ンションではペットも飼うこともできない状況から、学校帰りの子供たちが牛を 見るために立ち寄る様子などを見て、地域に対し何かできないかと考え、15年ほ ど前から酪農経営とともに家畜の「出前」を続けている。 ふれあい牧場では、子牛や山羊に直接えさを与えたり、うさぎを抱いたりする ことができる。そのため、子牛(4カ月まで)は常時2〜3頭は飼育しておく必要 があり、酪農経営では計画的な子牛生産を行い、展示用として活用している。4 カ月以降は県外預託で育成し、搾乳牛として利用する。また、ふれあい牧場の家 畜は牛舎の一画で飼養するなど、酪農経営とふれあい牧場は互いに補完しあって いる。 感受性の高い子どもにとって、家畜とのふれあいは命の尊さを学び、豊かな情 操教育にもなり得ることから、特別なPRはしていないが、口コミで要請は年々増 加している。現在は、保育園、幼稚園、各種イベントなどで年間150回程度出前 を続けている。ふれあい牧場は、畜産経営の理解と地域との交流を目標としてい るため、基本的には展示料金などは決めていない。 今後は、子どもたちとともに地域から喜ばれる酪農経営を目指し乳製品の製造、 販売を考えている。またふれあい牧場では、福祉施設への展示など社会のニーズ に対応していきたいと大きな希望を持って経営をしている。都市化によって畜産 の規模拡大はできないが、畜産、家畜の多面的機能を活用した事例として脚光を 浴びている。
【子牛と記念撮影です。】 |
【子豚の好きな食べ物は何かな?】 |