◎地域便り


家庭用浄化槽ブロアーを利用した牛ふん尿臭気の抑制 

群馬県/宮崎 美伯


 群馬町の酪農家伊藤さん(44)と福田さん(52)は、家庭用浄化槽に使われて
いるダイヤフラムポンプ(以下ポンプ)を用い、牛舎の尿貯留槽に空気を強制的
に送風し、ふん尿の臭気抑制に効果をあげている。

 ポンプはホームセンターで2〜3万円くらいで簡単に手に入るもの。伊藤さんの
牛舎はバンクリーナーで固液分離をしているため、ポンプは毎分50リットルの能
力で十分である。また、福田さんの牛舎は自然流下式でふんと尿が一緒に貯溜さ
れているため、ポンプの能力は毎分80リットル(アパート用のポンプ)と大きい
能力のポンプを使用している。

 その他に用意するものは電源を取るための延長コードとどこにでもある13ミリ
の塩ビ(塩化ビニール)パイプを4メートル。その他ミルクチューブ1メートルく
らい。ポンプと塩ビパイプをミルカーに使用しているミルクチューブ(使用済み
のもので十分)でつないで、尿貯留槽に放り込むだけでよい。電源は一日中入れ
たままにして使用し、ほこりの多いところでポンプを使用する場合は、1カ月に
一度ポンプを掃除するだけ。特に消臭剤や添加剤を入れなくても構わない。

 臭気抑制の効果は、飼料畑にふん尿をバキュームカーで散布する時によく分か
るという。以前は散布作業を終えたあとは、臭くてすぐに作業着を着替えていた
が、この装置を設置した後では、作業着を着たまま休憩時にお茶を飲むことがで
きるくらい臭気が減少しているという。

 群馬町は高崎市の北側に接しており、現在、公共下水道の供用が開始されつつ
ある。そこで不要になった浄化槽用のポンプが多数水道工事店に転がっているの
を役場の担当者が目をつけ、町内の酪農家に無料で配布する予定である。

 混住化が進んでいる地域では、畜産農家の臭いが一番気になるところ。同じ悩
みを抱えている地域の方は是非試してみてはいかが。ただし、豚の尿の場合は泡
が多数出るため、消泡機が必要のようである。
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【福田さん牛舎断面】

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