徳島県/三船 和恵
徳島のおいしい鶏「阿波尾鶏」の生産出荷羽数が平成11年度75万羽を超えた。 「阿波尾鶏」は、よりおいしい鶏を求める消費者、養鶏業界の要望にこたえる ため、徳島県畜産試験場が開発した高品質肉用鶏である。県内で古くから飼育さ れていた大型で肉質がよいシャモ系地鶏を改良した阿波地鶏を父親、ホワイトロ ックを母親に持つ。 徳島県夏の最大イベント「阿波踊り」にちなみ、華麗で健康的な躍動感あふれ る郷土色豊かな鶏の意味をこめ、その尾羽の美しい姿を文字にして元年に命名さ れた。四国三郎吉野川の水面を渡る清浄な風と水に育まれながら、85〜90日とい うブロイラーの2倍に近い日数をかけてゆったりと育てられる。 ブロイラー肉と比べて、グルタミン酸などの鶏肉中のうま味成分が多く、また 濃い肉色と適度な歯ごたえを持っている。さらに鮮度落ちがなく冷凍しても味が 落ちないという特色がある。 安全で高品質な農畜産物の安定供給を目指す徳島県のリーディンブランドとし て元年から生産を開始し、同年県と県養鶏協会が中心となり「阿波尾鶏ブランド 確立対策協議会」を設立。生産、販売調整を行ってきた。販売当初はバブル崩壊 の影響もあり出荷羽数は伸び悩んだが、協議会メンバーの地道な努力により、10 年度出荷は念願の60万羽を超え、さらに11年度は75万8,800羽(対前年比123%) を出荷した。現在の主な出荷先は京浜42%、中四国30%、京阪神17%となってい る。 出荷量の伸びる中、問題点もまだ多い。もも肉志向の強いわが国のむね肉事情 は「阿波尾鶏」にとっても重要課題である。「阿波尾鶏」はブロイラーに比べも も肉の割合が高く、また、むね肉はうま味が濃くおいしい。協議会では消費者の 皆さんにこの優れた素材をより上手においしく食べていただくため、関係機関と 連携を取りながら、おいしい食べ方の紹介、新たな加工品の開発等消費拡大策を 進めている。 現在全国で生産されている高品質鶏は、(社)日本食鳥協会の国産銘柄鶏仕入 ガイドブック(9年度版)によると150を超える。その数は今後さらに増加すると 思われる。多くの高品質鶏が生産される中で「阿波尾鶏」を今後も安定出荷して いくため、協議会では、今よりもさらにおいしく、より生産性の高い「阿波尾鶏」 の供給を推進する予定である。
【生産出荷羽数が75万羽超えた『阿波尾鶏』】 | 【阿波尾鶏の父系鶏『阿波地鶏』】 |