★ 事業団から


−統計解説シリーズ− 肉用子牛の取引頭数と価格

食肉生産流通部 肉用子牛第一課




調査方法等

 事業団では、平成2年度から肉用子牛生産安定等特別措置法(昭和63年法律第
98号)に基づき農林水産大臣が指定した肉用子牛の主要な生産地域に所在する家
畜市場(指定市場)等を対象に、肉用子牛取引価格等の情報収集を行っている。

 対象としているのは、日齢400日を超えるものおよび体重100キログラム未満の
ものを除く、黒毛和種、褐毛和種、ホルスタイン種および乳用種を父または母と
する交雑種(いわゆるF1)等で専ら肉量の増加を目的に生産されている肉用子牛
である。

 収集しているデータは、各家畜市場でのセリ取引における以下の項目である。

 ・取引成立頭数
 ・取引価格(消費税込)
 ・体重(kg) 
 ・日齢(日)

 取引価格等の情報は、全国39道府県(東京都、神奈川県、富山県、三重県、大
阪府、奈良県、和歌山県、愛媛県を除く)の136カ所の家畜市場(指定市場117カ
所、それ以外の市場19カ所。実際に取引を行っている家畜市場の約8割)から当
該道府県の肉用子牛価格安定基金協会(指定協会)を経て事業団に報告される。

 各市場でのセリ取引終了後、その翌日までに速報データがファックスで送付さ
れ、その後せり取引終了後10日前後(セリ取引が確定するまで7日程度要する)
で確定データが指定協会から電話回線で送信される。   

 これらの取引価格等のデータは、事業団で集計、整理し、「月別肉用子牛取引
情報」(月報、毎月16日発行)、「家畜市場における肉用子牛価格の動向」(速
報、毎旬で月3回発行)として国、県および生産者団体等の関係団体へ業務参考
資料として送付するとともに、主要なデータについては、「畜産物市況週報」お
よび「畜産の情報」(国内編、資料編24ページ)に掲載している。

 なお、事業団が公表している平均価格は農林水産大臣が四半期ごとに告示する
平均売買価格(指定市場における指定肉用子牛の価格で補給金交付の際の指標価
格。資料編25ページ)とは、集計している家畜市場等が異なるため、一致しない
ので注意が必要である。


取引動向

黒毛和種

 12年1月から12月の取引頭数は、356千頭(前年同期345千頭)、平均取引価格
は387千円(前年同期380千円)。 

 口蹄疫発生の影響で主生産地である南九州の家畜市場等の取引が中止されたこ
とから、4月の取引頭数が大幅に減少した。その後、関係者の努力により年間の
取引頭数は前年同期比3%の増加となった。 

 また、取引価格も、口蹄疫の影響が懸念されたものの、解禁後の市場では高値
で取引された。その後も高値で推移し、年間平均では前年を2%上回った。

◇図:黒毛和種の取引動向(全国)◇

ホルスタイン種

 12年1月から12月の取引頭数は16千頭(前年同期14千頭)、平均取引価格は101
千円(前年同期57千円)。

 景気の低迷による低価格志向、原産国表示の義務化の影響等で乳用種等の需要
が高まり、ホルスタイン種の枝肉価格が高値で推移したことに伴い、平均取引価
格は前年比177%と大幅に上昇した。

◇図:ホルスタイン種の取引動向(全国)◇


交雑種・乳(F1)

 12年1月から12月の取引頭数は85千頭(前年同期70千頭)、平均取引価格は170
千円(前年同期136千円)。

 乳用種への黒毛和種の交配率の低下による生産頭数の減少や消費者の低価格志
向が強まり枝肉価格が上昇したことに伴い、平均取引価格は前年比125%と大幅
に上昇した。

◇図:交雑種・乳(F1)の取引動向(全国)◇

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