◎地域便り


ワイン粕を飼料として活用、甲州ワインビーフ

山梨県/企画情報部


 JR中央線で甲府から西へ1つ目の竜王駅は中巨摩郡敷島町の南端に位置する。
そこから北へ車で30分、(有)小林牧場はちょうど竜王駅とは反対側になる町の
北端の山間にある。

 F1交雑種肉牛の肥育専業で飼養頭数は1,400頭。そのほとんどが家畜市場や近
隣農家から、2カ月齢ほどで導入され、ここで22カ月間飼育される。

 ブランド名は「甲州ワインビーフ」で、キャッチフレーズは「大自然の中で育
てられた極上のおいしさ」。小林牧場をはじめとする5戸が生産普及組合を組織
している。

 ワインビーフと聞くとワインを飲んで育った牛のように思われるが、正確には
「ワインを搾った後のブドウ粕を飼料として育成されている」ことから名付けら
れた。ブドウ粕のほかには豆腐粕、酒粕なども飼料とされており、要は食品残さ
を飼料として活用しているのが「甲州ワインビーフ」である。

 こうした食品残さは食品産業にとってはお荷物も同然。そのままならばどこに
も持っていきようのない産業廃棄物だ。この活用を思いついたのが、代表取締役
の小林輝男さん(52)らである。それらは牛の健康に効果があるばかりでなく、
生産コスト、特に飼料費の圧縮に大きく寄与している。ちなみに小林牧場の場合
で1頭当たりの飼料費は全国平均の60%にすぎない。

 平成に入り、牛肉の輸入自由化が決まってから、小林さんは酪農から肉牛経営
への転換を決意した。時代の流れに逆行することにもなりかねない決断だったが、
酪農の生産調整強化にはどうしても展望を切り開けず、肉牛に転じた。

 それからは一貫して「飼料費の削減とスケールメリットの追求」に励んできた。

 平成7年には飼養規模を500頭にまで増やした。この年、小林牧場は認定農業者
となり、5カ年計画で新たなステップ・アップに挑戦する。

 この結果、12年度の優良認定農業者表彰で農林水産省構造改善局長賞に輝く。
経営計画上の諸目標をほぼ100%達成したが、中でも規模拡大目標は120%という
驚異的な伸びを実現した。

 山の斜面を利用した牧場には牛舎が14棟。月齢別に牛たちは収容されており、
6人のスタッフがこれらの面倒を見る。

 敷地的にはまだ余裕があり、近い将来には「飼養規模を2,000頭まで拡大する」
ことを計画している。

 「ワインビーフは気軽に食べられる、家庭での夕食のおかず的な牛肉を目指し
ており、決して高級志向をターゲットとしたものではない」。この基本方針を支
えるのは飼料費の圧縮による肥育経営にあることは言うまでもない。
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【牛舎は全部で14棟。牛舎の前で】

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