★ 事業団から


-統計解説シリーズ- 食肉販売状況調査について

食肉生産流通部 食肉課




調査の目的・内容

 事業団では、食肉の小売価格を把握するため、平成3年7月から、「食肉販売
状況調査」を実施している。

 この調査は、牛肉輸入自由化後の国内における食肉の価格安定等に資するため、
さまざまな形態で流通する食肉の、特に小売段階での情報を中立的な立場から収
集、整理、提供する目的で開始された。 毎月、全国展開している量販店(平成
13年4月現在30社)および17都市の食肉専門小売店(同100店舗)から、100グラ
ム当たりの「通常価格」と「特売価格」(いずれも消費税抜き)を直接収集して
いる。
 
「通常価格」は、毎月15日を基準とし、当日が休業日の場合は翌営業日、また
は、特販期間中に当たっている場合は、特販日直前の価格とし、「特売価格」に
ついては、調査月内の代表的な特販価格としている。

 牛肉は4種(和牛、その他の国産牛、豪州産、米国産)、4部位(かた、ばら、
サーロイン、もも)、豚肉は2種(国産、輸入)、3部位(かた、ロース、もも)
について調査しており、その結果は「畜産の情報」等およびインターネット
(http://www.alic.go.jp/)を通じて公表している(畜産の情報国内編、資料22および
36ページ)。

 なお、総務省の「小売物価統計調査」では、昭和25年以来のデータがあること
に加えて、全国70都市別に、牛肉では、ロース、肩肉、輸入品(チルドロース)
の3区分、豚肉では、ロース、肩肉の2区分の価格が公表されている。

調査の結果

 牛肉の輸入自由化からちょうど満10年が経過した。そこで、牛肉の小売価格を
例に自由化直後の3年度の値を100として、その後の推移を見る。

 関税率の段階的引下げおよび円高等により、輸入品の卸売価格が7年度まで一
貫して低落傾向で推移したことから、輸入品の小売価格も自由化直後から7年度
まではおおむね下落し続けた。一方、国産品については、輸入量の増加、輸入品
卸売価格の低下の影響を受けて、部位によっては価格の低下が進んだものの、輸
入品との品質的な違いや国産品を志向する動きにも支えられ、価格は安定的に推
移してきた。

 特に8年度以降は、牛海綿状脳症(BSE)やO157問題の影響等で食品の安全性
について消費者の関心が年々高まり、さらに、12年7月からすべての生鮮食品に
ついて原産国表示が義務付けられたこともあって、国産志向が一層強まったこと
等から、国産品の小売価格は引き続き安定的ないしは部位によっては上昇傾向で
推移している。

 次に代表的な部位の価格動向を見る。 

@サーロイン

 和牛、輸入品(豪州産、米国産)は一貫して自由化直後の水準を下回って推移
している。7年度以降、通常価格で和牛は5%安前後、輸入品では10%〜15%安、
特売価格では、和牛は10%安、輸入品では15%〜25%安の水準となっている。  

 一方、その他の国産牛は、5年度から6年度にかけて自由化直後の水準を下回
ったものの、以降は自由化直後とほぼ同水準で推移している。これは、国産志向
が強まったことに加え、景気低迷が続く中、低価格志向の流れをくんで、需要が
国産牛の中でも中・低級規格へシフトしていることを反映しているものと考えら
れる。

◇図:通常価格(牛肉・サーロイン)◇

◇図:特売価格(牛肉・サーロイン)◇

Aバラ

 自由化以降、焼き肉需要が大きく伸びる中、国産回帰の流れも加わって底固い
需要に支えられ、8年度以降、国産品は通常価格、特売価格のいずれも3年度の
水準を10%〜15%程度上回って推移している。一方、輸入品を見ると特売価格で
豪州産、米国産いずれも3年度の水準から10%〜20%安となっている。

◇図:通常価格」(牛肉・バラ)◇

◇図:特売価格」(牛肉・バラ)◇

元のページに戻る