◎地域便り


F1肥育を支える技術研さんとたい肥生産

新潟県/企画情報部


 JR長岡駅前から北東へバスで1時間弱。有限会社中島牧場は信濃川の堤防がも
う直ぐそこというところに位置している。

 代表取締役の中島興一郎さん(55歳)が就農した頃の周辺農家は水稲作一色。
養豚もそれなりに盛んだったが、乳おす6頭から肉牛の肥育経営を始めた。

 長岡市内でサラリーマンになろうと思えば難しくなかったし、通えないことも
なかった。ただしそれは雪のない季節だけのこと。いったん降り出せばドカ雪に
なり、同じ市内とはいっても中心地までの通勤は容易なことではなかった。

 段階的な経営規模の拡大を図り、平成11年には経営を法人化した。その直後、
牛肉の輸入自由化が決まり、3年からF1肥育の専業に転換する。自由化が乳おす
を直撃した格好で、市場価格の低落は著しかった。その点、F1は相応の価格水準
を維持していたし、「小さな資本でも拡大できる魅力に富んでいた」。

 現在の飼養規模は440頭で、もちろんすべてF1である。生後1カ月のヌレ子を
購入し、26カ月齢で出荷する。枝肉ベースで大きいものならば500キロを超える
が、その平均は450キロ前後。

 肉質的にはB3〜4ぐらいで、長岡市場や東京市場ではキロ1,000〜1,400円の価
格がついている。

 それにしても異常なのは素牛の価格。高過ぎて経営は圧迫されている。こうし
た状況の下、良い肉質を得ようとすれば高度な飼養技術が要求される。それなく
しては生き残れない時代になった。

 生き残りといえば環境対策もあったが、自前のたい肥舎は既に完成しており、
リース事業も活用することで一応のめどが立っている。

 しかし、それ以前から独自に完熟乾燥たい肥の生産、販売を手掛けていた。初
めは単なるふん尿処理としてスタートしたが、今日では経営全体に対する貢献の
比率は10%に達するほどだ。「ふるさと堆肥」のブランド名は徐々に知れ渡ろう
としており、35リットル袋詰で500円。JAやホームセンター等に納入しているが、
バラ積みで直接畑地にまで運ぶケースも増えている。

 現在のスタッフは中島さんのほかに役員2名と従業員・パートが3名。「福利
厚生の充実」という言葉に込めて、就業ローテーションの確立による休日の確保、
労働時間の固定化を図ろうとしている。経営の規模拡大と人員体制の強化。両者
のバランスをとりながら、段階的に飼養頭数を増加させていくのが基本戦略だ。

 農業委員を務めて2年目を迎え、仕事以外で時間を割くことも多い毎日である。

 気合を掛けるように「さてっ…」と一言、トラックに飛び乗った中島さんは水
田地帯の中を勢い良く走っていく。
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【F1牛を収容する畜舎で】

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【「ふるさと堆肥」の貯蓄場で】

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