◎地域便り


地域に根ざした牧場を目指して

富山県/稲場 仁一


 富山県内の3市1町(魚津市、滑川市、黒部市、宇奈月町)で運営する新川育成
牧場組合(管理者:魚津市長石川精二)は、平成8年度から補助事業を活用し、
乳牛育成舎(3,030平方メートル)、有機質活用センター(1,000平方メートル)、
特産物流通施設(うしのいえMOOガーデン、340平方メートル)などを4年間で整
備した。これは、乳牛の預託育成に加え、有機質肥料や地域特産物の製造・販売
等を牧場運営に取り入れることにより、経営基盤の強化を図りながら、地域に根
ざした豊かな牧場づくりを目指したものである。

 まず育成においては、乳用牛の初産分娩月齢の短縮と分娩体重の増加を目指し
て、目標値をそれぞれ24カ月以内、600キログラム以上とした育成プログラムを
作成し、これに基づいた飼養管理を行っている。預託牛は県内はもとより、一部
県外の酪農家からも受け入れ、常時300頭を飼養している。ちなみに12年4月〜
12月までに妊娠鑑定を終えた預託牛95頭の平均初産分娩月齢は23.4カ月であり、
分娩体重もほぼ目標体重をクリアしている。

 有機質活用センターでは、畜産農家のたいきゅう肥を有効活用するために、年
間約1,500トンを同センターに搬入し、製品化している。製品はJAを通じて10キ
ログラム(300円)と20キログラム(500円)の袋の他、1トン当たり2,500円で販
売し、水田を中心とした耕種農家に供給している。

 さらにふれあい事業として、牧場で飼養するブラウンスイス種やジャージー種
等の牛乳を利用して、3種類の低温殺菌牛乳や、その他ソフトクリーム、ジェラ
ート、プリン、シュークリーム等のオリジナル製品の開発、製造、販売を行って
いる。特にジャージー種の牛乳を利用したソフトクリームや独特の味とコクを生
かしたブラウンスイス種のジェラートなどが人気商品である。また、牛乳や持ち
帰り用カップアイスは地方発送もしている。この他、「うしのいえMOOガーデ
ン」では、ソーセージやバターの手作り体験コーナーもあり、県内外の家族連れ
や職場グループが参加するなど広く利用されている。

 新川育成牧場では、今後も公共育成牧場としての使命を果たしながら、地域と
の交流を促進し、地域住民共有の財産として発展するよう努めていきたいと考え
ている。

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