◎地域便り


手作りハム、ソーセージで熱い戦い

愛知県/加藤 篤幸


 奥三河の隣接する足助町と下山村で、手作りハム、ソーセージなどの販売が活
性化している。

 「町民の方をはじめ、訪れる方が百歳までも健康で、雑草のように力強く、生
涯現役の人生が送れますように。」と名付けられた「足助町百年草協会」が、高
齢者の職場確保などを目的に「足助ハムZiZi工房」を開業して、10年が過ぎる。

 ZiZi工房の年間売り上げは、当初6,000万円ほどだったが、今では1億円を超え
るまでになった。5種類だった商品も9種類に増え、全国各地への発送もしている。
名古屋市内の百貨店からも商品納入の引き合いがある。パン工房や宿泊施設も併
設された複合施設で、そのスタイルを確立した格好だ。

 これに対し、「大手メーカーの製品と違い、冷凍肉を使わないので、食肉本来
の色で、かみごたえがある食感が特徴。」と語るのは、足助町に隣接する下山村
に昨年10月からオープンした手作り工房山遊里(やまゆり)の店長新実さん。

 山遊里は村おこしの一環で、第三セクター「香恋(かれん)の里」が運営する。
下山村は4年前に「香り」をテーマにした「香恋の館」を作っており、山遊里で
もハーブや香辛料を使った肉製品を扱う。

 新実さんは昨年3月まで24年間、県内の精肉店に勤めていたが、数年前から趣
味で始めたベーコンやハム作りに、釣り仲間だった下山村の職員が目を付け、精
肉店の社長が下山村出身だったこともあり、同僚と共にスカウトした。

 同工房で作る「山遊里ウインナー」は愛知県産の銘柄豚「みかわ豚」と「香恋
の里」などで栽培されたハーブや山菜を使用する。塩や砂糖にもこだわり、防腐
剤、保存料は一切加えない同工房の商品は8種類のソーセージをはじめ、スモー
クベーコンなど約20種類を数える。新実さんは、「みかわ豚は材料として最適で
あり、これまでの経験を生かせば、マイルドな味を出せそう。」と話す。村の人
が買ってくれるものづくりを目指すが、全国発送も行っている。

 山遊里の特徴の1つは、ウインナーソーセージ、ロースハムなど食肉加工品作
りを体験できるコーナーを用意しているところだ。ロースハム作りは事前に予約
が必要だが、ウインナーソーセージ作りは1日に3回開催される。所要時間は約
2時間。

 できあがったソーセージの味は格別であり、週末には多くの体験者で賑わいを
見せている。新実さんは、「将来的には施設内にバーベキュー施設を整備し、自
作のソーセージをその場で味わってもらいたい。」と話す。

 その他に、山遊里では地元農産品の直売コーナー、地元素材にこだわる手作り
ジェラート等も販売する。
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【手作り工房山遊里】
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【手作り工房山遊里でウィンナーソーセ
ージ作りを指導する新実店長(右端)】

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