◎地域便り


とちぎの家畜人工授精師のたまごたちが巣立った

栃木県/矢野 雅之


 平成13年7月3日から8月6日に県主催の家畜人工授精師講習会が栃木県酪農
試験場で行われた。本県の家畜人工授精師講習会は5年度に開催したのみで、今
回、酪農家や和牛繁殖農家から「家畜人工授精師免許を取得し、自ら自己経営内
の牛の種付けを行いたい。」と強い要望があがったため、8年ぶりに開催した。

 今回の家畜人工授精師講習会では、40名の募集に対して76名の応募があり、そ
のうち50名が講習会を受講し、県内の畜産農家の関心の高さがうかがえた。受講
者の内訳は、酪農家または酪農家後継者が34名(68%)、和牛農家またはその後
継者が10名(20%)と、畜産農家が88%を占め、仕事に従事しながらの講習会受
講であった。本県は13年2月の家畜飼養頭羽数を見ると、乳牛は全国で第2位、
肉用牛が第6位と、全国でも有数の大家畜の畜産県である。本県在住の畜産農家
やその後継者が自ら人工授精を行い、自分で牛をつくりたいという思いを感じ、
「21世紀も栃木県の畜産は健在なり」と痛感した次第である。

 講習会は、家畜改良増殖法に基づき行われ、講習は午前9時に始まり、午後5
時までの1日8〜9時間の講習で、22日間開催された。その間、酪農家や和牛農
家は搾乳や給じ等の飼養管理を早く終了させ、講習に出席し、1日の講習が終了
したあと自宅に戻って再び飼養管理を行うなど、講習会を受講した1カ月間は大
変な苦労があったものと推察された。その甲斐あって、今回の家畜人工授精師講
習会は、講習会を修了した者のほとんどが合格となった。

 家畜人工授精は免許を取得した後、自らがどんどん人工授精を実際に行わない
と腕は上達しない。今回、苦労して取得した家畜人工授精師免許を生かし腕を磨
いて、自家の畜産経営に合う牛を数多く作りだし、自らの経営に生かしていただ
きたい。そして、本県畜産の21世紀における順調な発展のための牽引役となって
いただきたいと願う次第である。
【人工授精師講習会実習
(精液活力測定)】

    
【家畜の体型審査実施風景】

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