高知県/吉村 敦
近年、都市化の進行や畜産農家の減少によって、家畜と身近に触れ合う機会が 少なくなり、このことが畜産に対する理解不足を助長する要因になっている。 また一方では、高齢化等社会情勢が複雑化する中で、犬や猫をはじめ幅広い生 き物との触れ合いを求める人々が増加しており、心や体を病む人々の健康回復に 役立つ、いわゆるアニマルセラピーの効果が注目を浴びている。 そこで、高知県畜産試験場では、体型が小さく(体重約1キログラム)、性質 が非常に温和で人慣れし易い、ペット用の鶏(愛称:プチコッコ)を作出し、平 成12年度から普及に向けた試験に取り組んできた。 この鶏は羽毛が茶色で、足が短い可愛らしい姿の鶏で、50グラム程度の卵を産 むといった特徴がある。また、非常におとなしい性格であるため、一般家庭や小 学校・幼稚園などでも容易に飼育することが可能である。都会に住む一般の人達 がプチコッコを飼育することで、畜産や畜産物に対する理解を深め、さらに福祉 における精神ケア・生きがい対策やアニマルセラピー効果をはじめ、教育分野で の情操教育などに役立てることができると期待している。 12年度のモニター調査の結果では、「とてもおとなしく、人に慣れて飼いやす い」、「心が和み癒し効果が大きい」といった意見が聞かれた。また、小学校や 保育園では、子供達が抱っこして遊び、世話をしながら卵も食べられると好評だ った。また、一般家庭においても、残飯が餌として利用でき、鶏ふんは家庭菜園 に使えるため、ゴミの減量と資源の有効活用が図られている。 さらに、一軒家やマンションのベランダなどでも飼えるように、鶏ふんの消臭 対策などを施した飼育専用ケージを開発した。また、室内や庭などでプチコッコ がふんをして困らないように、鶏用のおむつも同時に開発し、現在製品化を図っ ている(特許出願中)。 本年度は、さらに小型化・産卵率の向上を中心とした、種鶏の改良を行ってい る。また、県内外からの問い合わせも多く、13年度中に一般人を対象とした発売 ができるように、販売体制整備にも取り組んでいる。
【(左)プチコッコ:体重約1キログラム (右)普通のロードアイランドレッド: 体重約2キログラム】 |
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【鶏用おむつを装着したプチコッコ】 |