宮崎県/岩下 幸男
年々高まる消費者の健康志向を背景に販売先からはより安心、安全で付加価値 のある牛肉開発の要望が強くなっている。これを受けて宮崎県乳用牛肥育事業農 業協同組合では、4種類の天然ハーブ(ジンジャー、シナモン、オレガノ、ガー リック)とビタミンEを加えた配合飼料を給与した「宮崎ハーブ牛、宮崎ハーブ 黒牛」を開発した。 指定配合飼料メーカーである日清飼料株式会社に依頼し、健康でおいしい牛肉 の開発を目標に約2年半の試験検討を重ね、平成13年4月に「宮崎ハーブ牛」を、 6月に「宮崎ハーブ黒牛」の販売を開始した。 肉の特徴として「ビタミンEが豊富であり、抗酸化効果で肉の鮮度が保持でき る」「不飽和脂肪酸、特にオレイン酸の効果が高い」「ビタミンEとハーブ効果 で細胞膜が強化され、肉汁(ドリップ)が少なくうまみ成分を逃がさない(ゆで たときあくが出ない)」「脂肪の融点が低く口溶けがよい。」などがある。 現在、34戸の生産農家が一丸となり、衛生的な牛舎において、子牛から出荷ま で一貫体制で飼養している。途中、昨年の92年ぶりといわれる口蹄疫の発生の中 で、絶望感にみまわれることもあったが、行政の素早い対応で短期間に収束し、 販売に向けても拍車がかかった。13年4月には発表会を開催したが、評判も非常 に高く、順調な販売展開が行われている。 また、これに先駆けて行った「味覚調査」でも「しゃぶしゃぶによる試食」で 78.6%が、「焼き肉による試食」で89.3%が従来の牛肉と比較してハーブ牛を支 持するという結果となった。 「需要度調査」でも、販売されれば全員が購入したいと答えている(ただし、 通常の国産牛の1〜3割アップの価格なら)。 今後ますますの飼養管理徹底を推進し、「宮崎ハーブ牛、宮崎ハーブ黒牛」の ブランドの向上を目指すとともに、生産者の経営安定に向けて努力していきたい。 ○日清経営技術センター調査 [グループインタビュー方式。 4グループ実施(1グループ7〜8名)}]