トピックス

●●●BSE4頭目確認後も回復基調 続く●●●

 国産牛肉の卸売価格が回復傾向にあった中、5月11日4頭目のBSE感染牛が確認さ
れた。生産者、流通業者、消費者の 冷静な対応から極端な値動きは見られなかっ
た。これはBSEの全頭 検査の実施や、これまでのBSEに関する知識の普及に関する
取り組みの成果であろう。

 一年を通しての卸売価格の変動を見ると、大衆牛は、例年5月のゴールデンウィ
ーク後から梅雨明けまでの相場は弱含みの展開となるので、卸売価格はゴールデ
ンウィークをピークに徐々に値を下げる傾向がある(図1)。このような傾向の中
、月ごとの価格動向を対前年同月比で見ると、これまでの感染 例がいずれも乳用
種めすの高齢牛だったため、乳めすは前月より下がったものの、省令規格の価格
は2月の30.3%を底に、4月53.9 %、5月58.7%と4月から5月にかけて着実に回復
している(図2) 。
図1 牛肉の省令価格(東京)
図2 規格別卸売価格の推移(東京、前年 同月比)


●●●豚肉輸入量、緊急措置解除により急増する●●●

 13年8月1日から発動されていた豚肉の関税緊急措置は14年4月1日に解除され、
関税率が通常ベースに戻った。解除後、最初の輸入月となる4月の豚肉総輸入量
は、94,290トン(44.0%)と予想どおり急増した(図3)。

  内訳を見ると、冷凍品が大幅に増加し、78,222トン(63.2%)。国別では、米
国19,304トン(109.8%)カナダ17,800トン(82.2%)、デンマーク30,004トン
(37.1%)といずれの国も急増している。これは3月の通関を遅らせ、関税率が
通常ベースに戻る4月に持ち越したことが1つの原因と考えられる。
  一方、国産品との競合が考えられる冷蔵品は16,023トン( ▲8.7%)とかなり
の程度減少している。 

  また、財務省は5月24日付けで14年度第4四半期(15年1月〜3月)における関税
の緊急措置の発動基準となる豚肉等の輸入数量を告示した。当該数量は、前年度
の水準より64,030トン多い801,163トンとなった(資料 P31)。
図3 豚の冷蔵品、冷凍品別輸入量とCIF


●●●国産鶏肉卸売価格反落●●●

 5月のゴールデンウイーク需要に合わせた量販店等からの引き合いが一巡し、
国産鶏肉卸売価格は値下がりしている。

 昨年と比べるとかなり高値で推移しているものの、もも肉(東京地区、中値)
卸売価格は5月初めに1キログラム当たり661円であったが6月11日には632円と
なった。

 一方、むね肉においても5月初めに1キログラム当たり245円であったものが
6月11日には229円と値を下げた。

 夏場は、牛肉や豚肉と違い、焼き肉などの需要が期待できないため鶏肉は不
需要期とされているが、今年もこの傾向は同様の推移をたどると考えられる。
 5月中旬には4頭目のBSE感染牛が確認されたが、牛肉のさらなる代替需要は
発生していない。(図4)
図4  国産鶏肉卸売価格(東京、中値)


●●●チーズ消費量、▲0.9%でほぼ前年並み●●●

 5月に公表された「平成13年度チーズ需給表」(農林水産省生産局畜産部牛乳
乳製品課)によると、チーズの総消費量はこれまで増加傾向で推移してきたが、
13年度は257,182トンとほぼ前年並みであった(対前年比▲0.9%)(図5)。
総消費量の内訳は、ナチュラルチーズが142,947トンで全体の55.6%、プロセス
チーズが114,235トンで44.4%と平成5年度以降ナチュラルチーズの比率がプロ
セスチーズをかなりの程度上回って推移している(図5、6)。 
 ナチュラルチーズのうち「プロセスチーズ原料用」以外のナチュラルチーズ
を「直接消費用」(カマンベール等で業務用その他原料用を含む)と称し、区
別している。直接消費用のうち国産ナチュラルチーズは14,159トンで総消費量
の5.5%であるが、国産プロセスチーズは107,300トンで41.7%を占めている。
しかし、図6の小円グラフで示すように、国産プロセスチーズの原料となるナ
チュラルチーズの78.0%が輸入によるものである。(図6)。

 平成13年度の輸入の内訳を国別に見ると、ナチュラルチーズ全体(直接消費
用+プロセスチーズ原料用)ではオーストラリア、ニュージーランドのオセア
ニア地域が約7割を占め、プロセスチーズではフランス、デンマーク等EU諸国が
約7割を占めている(図7 )。

 国産ナチュラルチーズの生産量は、13年度は直接消費用およびプロセスチー
ズ原料用ともにわずかに増加した(図8)。13年度のチーズ総消費量の国産割合
(プロセスチーズ分を原料のナチュラルチーズに置き換えて推計)は14.3%と
前年から0.4ポイント増加した。

 プロセスチーズ原料用ナチュラルチーズの国産比率は22.2%と1.8ポイント増
と国産ナチュラルチーズの生産量がわずかに増えたことに伴なって増加したが、
直接消費用ナチュラルチーズの国産比率は、輸入数量の増加から22.2%と0.4ポ
イント減少した(図9)。
図5 チーズの総消費量
図6 平成13年度チーズ総消費量の内訳
図7 平成13年度国別輸入量
図8 ナチュラルチーズの生産量・輸入量
図9 国産割合の推移

 資料:「平成13年度チーズの需給票」(農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課
調べ)及び「貿易統計」(財務省)

●●●13年度鶏卵輸入量、液卵が減少●●●

   財務省の貿易統計によると、13年度の鶏卵輸入量は、30,360トン(▲15.6%)
(=殻付き換算114,453トン、▲5.4%)と大幅に減少した(図10)。

 内訳を見ると、液卵の輸入量が減少しており、特に卵白液1,502トン(▲63.3
%)、卵黄液10,529トン(▲18.5 %)の減少が著しかった。一方、乾燥卵では、
卵白粉が9,216トン(▲3.3%)とやや減少したが、全卵粉が3,152トン(21.9%
)、卵黄粉が2,324トン(3.8%)と乾燥卵全体では2.3%増加している 。

 近年、乾燥卵の総輸入量は、1万4千トン台でわずかながら増加傾向となって
いる。これら乾燥卵は、水に溶かしてから使用するという不便さがあるが、@
常温保存しても細菌学的に問題がなく保管が容易、A濃い濃度での使用や乾燥
食品に使用が可能、B輸送費、保管スペースが少なくて済む等から一定した需
要を持っていると考えられる。
図10 鶏卵の輸入量

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