トピックス

●●●国産牛肉の卸売価格、引き続き回復傾向●●●

 牛肉の卸売価格は、回復傾向が続いている。省令価格(東京、大阪)は5月に
入ると安定基準価格である780円を上回る日も出てきている(図1)。3月以降低
位等級についても、乳用種めす牛を除いて回復が見られるようになり、和牛の2、
3等級は前年同月比80%以上(4月、速報値)、省令価格(東京)についても2月
を底に53.7%(4月、速報値)に回復した(図2)。
◇図1:牛肉の卸売価格(東京、大阪、省令)◇
◇図2:卸売価格の推移(和去勢A-2、A-3、東京省令、前年同月比)◇


●●●BSEの影響で飼養頭数が増加●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計」によると、平成14年2月1日現在の肉用
牛の飼養頭数は283万8千頭で前年に比べ1.1%増加した。これは、小規模な飼養
者層を中心とした減少があるものの、BSE発生の影響による出荷の抑制等が要因
の一つと考えられる。種類別には肉用種が1.9%増加の171万1千頭、ホルスタイ
ン種他が8.8%増加の48万3千頭とそれぞれ増加したが、交雑種は5.6%減少し、
64万3千頭となった。

 飼養戸数は、総飼養頭数規模別に見ると、減少率が一番大きかったのが、「1
〜2頭」の階層で前年に比べ14.3%減少し、「200頭以上」で1.6%増加した。全
体では5.4%減の10万4,200戸となった。このことより、1戸当たりの飼養頭数は
27頭となった(図3)。

 繁殖基盤になる子取り用めす牛の飼養頭数については、これからの生産を担う
1歳未満層が前年と比べ15.2%上回り、かなり大きく増加し合計でも63万7千頭と、
前年に比べて0.4%増加した(図4)。
◇図3:肉用牛の飼養戸数と1戸当たりの飼養頭数◇
◇図4:肉用種子取り用めす牛の年齢別頭数割合◇


●●●豚の飼養戸数、引き続きかなりの程度減少●●●

 農林水産省が5月1日に公表した「畜産統計」によると14年2月1日現在の
豚の飼養戸数は、10,000戸(▲7.4%)と前年に比べかなりの程度減少した。

 飼養頭数については、小・中規模の飼養者層を中心に減少があったものの大規
模飼養者層における規模拡大があったことから9,612千頭(▲1.8%)とわずかな
減少にとどまった。この結果、1戸当たりの飼養頭数は、961頭(6.1%)と引き
続きかなりの程度増加した。また、子取りめす豚の飼養頭数は、916千頭(▲0.6
%)とわずかに減少している。

 県別に見ると、飼養戸数については、引き続き鹿児島が1位で1,070戸(▲4.5
%)、2位は茨城830戸(▲7.8%)、3位は宮崎810戸(▲1.1%)であった。総飼
養頭数についても、鹿児島が1,293千頭(▲6.9%)と総飼養頭数の13.5%を占め、
引き続き1位であった。また、2位は宮崎(シェア8.9%)、3位は群馬(シェア
6.6%)となった。

表1 県別飼養戸数

 資料:農林水産省「畜産統計
(14年2月1日現在)」
◇図5:豚の飼養頭数および戸数の推移◇


●●●鶏肉輸入ものの卸売価格急落●●●

 輸入ものの鶏肉の卸売価格が低下している。13年9月以降のBSE確認によ
る鶏肉の代替需要による消費量の拡大により国産鶏肉、輸入鶏肉ともに12月まで
高騰した。しかし、年明けからBSE問題による代替需要が陰ったこと、および輸
入量が大幅に増加したことにより不需要期と重なり国産もの、輸入ものともに低
下傾向で推移した。

 推定期末在庫量も年明け以降徐々に上回ってきており、3月は前年を大幅に上
回った。国内品在庫は前年をわずかに下回っているものの輸入品在庫が大幅に上
回ったためである。輸入量の増加および在庫量の増加により、輸入ものの下落傾
向が顕著である。中国産もも肉は平成13年12月1キログラム当たり520円であった
が、14年3月は330円、4月は310円となっており、タイ産もも肉も13年12月1キロ
グラム当たり516円であったが14年3月は441円、4月は443円と対前年同月と比べ
ると大幅に上回っているものの、年末の高値から急落して推移している。(図6)
◇図6:国別輸入鶏肉(もも肉)卸売価格の推移◇


●●●鶏肉輸入量タイ・ブラジル産が増加●●●

 平成13年度鶏肉の輸入量は55万6千5百トンとなり、前年度を0.2%上
回った。国別で見ると中国産が30.7%減、米国産が14.8%減となる一方、タイ産
は40.4%増、ブラジル産は31.2%増となった。

 平成14年3月の輸入量を見ると、冷蔵品では中国産が対前年で84.8%減となる
一方、大半を占める冷凍品は中国産は合成抗菌剤検出の問題で対前年63.9%減と
なり、米国産はトリインフルエンザ問題で58.0%減となる一方、タイ産は66.8%
増、ブラジル産は319.3%増となった。3月の国別輸入量のシェアを見ると、タイ
産が40.4%、ブラジル産が38.1%、中国産15.0%、米国産5.3%の順となってお
り、中国産が第3位となり、タイ・ブラジル産が急増している。

 13年度全体での国別シェアはタイ産31.6%、中国産29.3%、ブラジル産25.5%、
米国産13.0%の順となっている。

 なお、大幅な増加傾向が続いていた鶏肉調製品輸入量は、3月においては、前
年並みとなったが、それは米国からの輸入量がトリインフルエンザ発生による輸
入一時停止により対前年99.2%減となったことが大きな原因である。調製品につ
いてもタイ産は対前年30.3%増、ブラジル産80.1%増と両国の増加が目立つ。
(図7、8)
◇図7:鶏肉国別輸入割合(平成13年度)◇
◇図8:鶏肉国別輸入割合(平成14年3月)◇


●●●規模拡大が進む中、全国の酪農家戸数は減少、乳用牛飼養頭数は前年並み●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計」によると、14年2月1日現在の乳用牛飼養戸
数は3万1千戸(▲3.7%)と減少し、飼養頭数は172万6千頭(0.1%)と前年並み
となった。これは、小規模飼養者層を中心とした減少があるものの、BSE発生
の影響による出荷頭数の減少等があったことによる。1戸当たりの飼養頭数は2.1
頭増加し、55.7頭となった(図9)。

 成畜飼養頭数規模別に飼養頭数を13年と比較すると、「10〜14頭」では4.2%、
「40〜49頭」では5.1%、「80〜99頭」では31.5%、「100頭以上」では4.1%増
加したが、他の階層では減少した。「100頭以上」の規模拡大農家は年々増加傾
向にある(図10)。
◇図9:乳用牛の飼養戸数・頭数の推移◇
◇図10:乳牛の成畜飼養頭数規模別飼養頭数◇


●●●採卵鶏 1 戸当たりの飼養羽数、引き続き増加●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計(14年2月1日調査)」によると、採卵鶏
の飼養戸数は4,530戸(▲4.0%)とやや減少した。成鶏めす飼養羽数は、小・中
規模飼養者層を中心に減少があったことから137,925千羽(▲1.0%)とわずかに
減少した。1戸当たりの飼養羽数は、30,400羽(3.1%)と引き続き増加した(図
11)。
 県別飼養羽数を見ると、上位5県は、鹿児島、茨城、愛知、千葉、広島となっ
た。また、1戸当たりの飼養羽数の上位5県は、青森、岩手、広島、富山、北海道
の順になり、特に広島については前年に比べかなりの程度1戸当たりの規模が拡
大した(表2)。引き続き環境問題等から、大消費地から離れた県で規模拡大が
進む傾向がうかがわれる。

表 2 県別 1 戸当たりの飼養羽数

 資料:農林水産省「畜産統計
(14年2月1日現在)」
◇図11:採卵鶏の飼養羽数および個数の推移◇


●●●鶏卵価格差補てん基準価格、前年度同額の169円/Kg●●●

 平成14年度の鶏卵価格安定基金制度の補てん基準価格は、前年度同額の169円/
kgとなり、3年続いて同額となった(図12)。毎年、管理・運営主体である全
農系の(社)全国鶏卵価格安定基金、全鶏連系の(社)全日本卵価安定基金が農
林水産省の承認を得て、この補てん基準価格を決定している。この制度は、標準
取引価格(全農中央鶏卵センター他、指定鶏卵販売所での総販売価格の加重平均
月額)が補てん基準価格を下回った場合、生産者等の積立金からその差額の90%
を同基金から補てんすることとし、生産者の経営の安定を図ることを目的として
いる。補てん額は以下のとおり。

(補てん基準価格−標準取引価格)×0.9=
     その月の補てん単価(円未満切捨)

 なお、13年度は9回実施された(表3)。

表 3 13年度鶏卵価格差補てん実施状況

◇図12:標準取引価格と補てん基準価格◇

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