トピックス


●●●家畜個体識別全国データベース情報、提供開始●●●

 13年度末から全国の牛飼養者、生産者団体、行政機関等の積極的な協力を得て
構築を図った「家畜個体識別全国データベース」について、独立行政法人家畜改
良センター(福島県西白河郡、南波利昭理事長)は、「家畜個体識別全国データ
ベース利用規程」(平成14年4月30日付け14独家セ第188号)に基づき、本年10月
1日より一般アクセス用データベースの情報提供を開始した。

(1)アクセス方法

 一般アクセス用データベースのホームページ・アドレスは次のとおりである。
   http://www.lin.gr.jp
   (畜産情報ネットワーク(LIN)のメイン画面経由)

(2)提供される牛個体情報(国内出生牛の場合)

 

注・飼養地については、生産者の選択により、氏名または名称および住所(市町
    村名まで)の場合と都道府県名の場合がある。
 ・飼養地については、生産者から特別の報告があった場合を除き、一斉装着(
    平成13年12月から平成15年5月)後の情報のみ表示される。
 ・9月末で一斉装着分のうち9割強のデータを全国データベースに入力済み。残
    るデータについて、未報告およびエラー報告を現地に照会中であり、データ
    の追加または修正を実施中。
 ・この他、平成14年度出生分において出生、移動等の報告漏れおよびおおむね
    5〜7%のエラー報告が存在することから、都道府県等を通じた確実な報告に
    対する指導、エラー報告の現地への照会等を継続的に実施中。
  ・このため、一部の個体情報はエラー照会中のため、開示されない場合がある。

【検索例】



●●●学校給食の牛肉使用自粛割合、1割未満に●●●

 9月17日のプレスリリース「学校給食における牛肉の取り扱いについて」によると、
夏休み明けの9月13日の調査で学校給食における牛肉の使用について、全国におけ
る自粛市町村数、自粛学校数の割合がともに調査以来初めて1割未満になった。自
粛市町村数ベースでは7%で、自粛学校数ベースでは8%である。どちらも調査開
始月以降その割合は下降で推移してきた(図1)。内訳は関東農政局管内が自粛市
町村数・自粛学校数の割合がともに高く、特に都市と近郊の県の割合が高い。逆に
同じ関東管内であっても茨城、栃木、千葉県等の畜産県は自粛割合が0%となって
いる。これは全国においても同様の傾向があり、肉牛生産の盛んな道県では完全
に再開されている。消費県である都市とその近郊県での早急な自粛解除が望まれ
る。

 一方、価格については省令価格947円(東京、9月速報値)、前年同月比92.3%、
前々年同月比85.1%であり、回復傾向にある(図2)。

 図1 学校給食における牛肉の取り扱いについて
     (自粛市町村数ベース・自粛割合)

 資料:北海道酪農畜産課、地方農政局畜産課

 図2 卸売価格の推移(省令、東京)

 資料:畜産物市況状況、直近月は速報値


●●●14年度肉豚出荷頭数、ほぼ前年並み(見込み)●●●

 9月30日に農林水産省にて全国肉豚生産出荷協議会が開催され、14年度の肉豚出
荷頭数は、ほぼ前年度並みが見込まれるとの報告があった。

 14年度の上期を見ると、4〜8月の出荷頭数累計は6,436千頭(▲1%)。これに
農水省の9月「肉豚生産出荷予測」の1,271千頭(1%)を加えると7,707千頭(0%
)と、前年度並みとなる。

 下期は、ほとんどの県で飼養農家戸数の減少や、今夏の熱暑による受胎率の低
下や増体の低下により前年同期よりわずかに減少(▲1%〜▲2%)すると見込ん
でいるため、年度全体ではほぼ前年度並みになると見込まれる。

 例年、豚肉の卸売価格は、7、8月をピークに肥育に適した季節を迎える秋から
冬にかけて出荷頭数の増加に伴い下がっていく傾向にある。今年は、昨年と異な
りBSEによる牛肉の代替需要もないことから、例年どおり卸売価格の低下が懸念さ
れる。


●●●JAS地鶏に新たな認定●●●

 和歌山県有機認証協会は平成14年8月23日に森ふ卵場の「紀州鶏」とみのり農業
協同組合の「播州地どり」のJAS認証を行った。JAS地鶏としては、13年3月の「阿
波尾鶏」、13年11月の「奥美濃古地鶏」に次ぐ3例、4例目となる。和歌山県有機
認証協会はNPO法人であり、1例目、2例目の認証機関とは異なり、全国どこからで
も申請が受け付けられる体制となっている。

 「紀州鶏」は出荷日令約110日であり、シャモ独特のコクと旨味がある。

 「播州地どり」は「ひょうご味どり」ともいわれ、出荷日令約135日であり、味
にコクがあり、肉質にしまりがあり、皮下脂肪が少ない。(写真)
 
【紀州鶏】   【播州地どり(ひょうご味どり)】

●●●輸入ブロイラー在庫量の減少、国産むね肉卸売価格の下落●●●

 国産むね肉の卸売価格(東京)が8月末以降200円(1キログラム当たり)をわず
かに上回る程度で推移している。逆にもも肉は1頭目のBSE牛確認から1年が過ぎ、
牛肉からの代替需要は落ち着いているものの3月に発生した鶏肉偽装による国産品
志向により、需要が例年よりも強く8月以降値上がりが続いている。

 一方、輸入ブロイラーの在庫量は、5月末をピークに6月末から3ヵ月連続で減少
してきている。輸入ブロイラーの消費は偽装事件によるイメージの悪化から減少
傾向にあるため、7月まで特にブラジルからの輸入を極端に絞り込むことにより輸
入品在庫量を減少させている。しかし、中国および米国からの輸入は5月を底に増
加傾向で推移している。(図4)

 図3  国産鶏肉卸売価格(東京、中値)

 資料:農林水産省「食鳥市況情報」

 図4 鶏肉在庫量の推移

 資料:農畜産業振興事業団調べ


●●●飲用牛乳等向け処理量、増加●●●

 牛乳乳製品統計(農林水産省)によると、「生乳生産量」は14年度累計(4〜8
月)で前年同期を1.4%上回り、「飲用牛乳等向け処理量」についても13年8月以降
14年5月まで前年同期を下回ったが14年度累計(4〜8月)では0.2%上回った。「
乳製品向け処理量」は13年8月以降12カ月連続で増加傾向であったため、14年8月
は1.0%減となったものの、14年度累計(4〜8月)では3.4%上回った(図5)。

  同様に「飲用牛乳等生産量」のうち、生乳100%を原料とする「牛乳」の生産
 量は、13年8月以降11カ月連続で前年同月を下回って推移したが、14年7、8月と
 上回った。「加工乳」については13年7月以降一時減少幅が小さくなり食中毒事
 故の影響は回復傾向であったが、再び14年4月以降減少傾向にある。「乳飲料」
 については13年7月以降7カ月連続で上回っていたが、14年2月以降下回っている。
 (図6)。
 
  POSデータで消費動向を見ると、調査対象の686店舗(8月現在)で販売される
 1リットルの紙容器入りについては、対前年同月比は、「牛乳」、「低温殺菌牛
 乳」、「部分脱脂乳」等でマイナスからプラスに転じ、「低脂肪加工乳」で減少
 幅が大きくなっている。
 
 13年度に天候不順等で低迷した牛乳の消費が回復してきたといえる。

 図5 牛乳等の生産量と用途別処理量
      (対前年同月増減率、%)


 図6 飲用牛乳等生産量
     (対前年同月増減率、%)


 図7 牛乳等の消費動向(POS)
     (対前年同月増減率、%)

 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、日本経済新聞社POS情報サービス「NEEDS
       ーSCAN」
 注 1:「牛乳乳製品統計」では、部分脱脂乳は便宜上加工乳に区分される。
   2:牛乳等の消費動向(POS)は、1リットル紙容器入りの牛乳等を対象とした
       レジ通過客数千人当たり販売数量の対前年同月比率である。
   3:POS情報の「普通牛乳」はジャージー牛乳を、「低脂肪加工乳」は無脂肪乳
       を含む。     


●●●鶏卵の計画生産、3つの選択肢を提示●●●

 14年9月30日に農水省にて全国鶏卵需給調整会議が開催された。先般、農水省は
生産者に対し鶏卵の計画生産についてのアンケート調査を実施したところであり、
会議の中では、これらの結果を踏まえた上で、今後の計画生産のあり方について
説明がなされた。

 具体的な案として

@計画生産を改善する案

 現行の羽数管理による計画生産を継続。生産者に不公平感を与えないようi2〜
3年に一度の頻度で羽数枠を改定するとともに、飼料購入量の正確な把握による飼
養羽数把握で透明性のある制度の運営を目指す。

A適正規模の生産を促進する案

 大規模経営者については生産の自由化を進める一方、小規模経営者については
諸施策による体質強化を図りつつ、両者のバランスある生産構造の構築を目指す。

B生産者の自主的な生産管理に委ねる案

 現行の計画生産による羽数枠管理を廃止し、生産者が自由に鶏卵生産を行える
ようにする。

の3つの案が掲げられた。AとBの選択肢では、行政による羽数枠管理の仕組みが
大きく変更することとなり得るため、今後の議論を期待したい。


●●●エッグサイクル●●●

 鶏卵の生産量と価格の動向を対前年増減率をもって表示して見ると、おおむね
5年の周期をもって変動していると言われている(図8)。また、生産量と卸売価
格の動きはかなりの程度対応して変動している。

 すなわち、生産量が増加すると価格が下落し、逆に生産量が減少すると価格が
上昇している。この相関を1976年から2002年までの年度データ(02年は、4〜8月
平均)を見ると、図9のとおり、相関係数は−0.57524と負の相関を示している。

 図8のとおり一定のサイクルで生産と価格が変動していることが伺えるが、最近
においては生産量の変動は小さくなってきており、すこし不明確になってきてい
る。一方、卸売価格については依然として明確なサイクルで変動している。そこ
で、卸売価格(対前年増減率)のサイクルを分析してみる。

 まず、対前年増減率を三角関数で角度に変換し、角度と時系列(年度)の関係
を見る。増減率の高さを、実績の平均的高さから18(%)と仮置きし、18で除し
た値を角度に変換する(なお、18で除して1を超える場合は、便宜上1とおいた。
)。

 次に角度と年度の回帰を求め、求められた式からエッグ・サイクルの周期を求
める。求められた式は、y=73.848・x  R2=0.9936 (76年のときx=1)。この式よ
り、1サイクル(例、360度から720度になるまでの期間)は、4.8749年となり、お
おむね5年であることが確認できた(図10)。これより、鶏卵卸売価格の対前年増
減率の理論式は、A=18・cos(radians(73.848・x))となる。

 理論式と実績値を比較すると、近年における生産量の増減率が小さくなってい
ること等からか、ズレが生じている(図11)。(なお、この場合には、90年度以
降の数値により分析すれば直近の実態に合うようになると思料される。)

 図8 鶏卵の卸売価格と生産量の推移

 資料:農林水産省「鶏ひなふ化羽数」、「鶏卵市場流通統計」(8年12月まで)   
    全農「畜産販売部情報」(9年1月以降)

 図9 鶏卵生産量と卸売価格の対前年増減率の相関


 図10 年と角度の回帰


 図11 鶏卵価格対前年増減率の実績と予測



●●●10〜12月期配合飼料価格、引き上げ●●●

 全農は、世界的な異常気象による米国産地の干ばつで穀物相場が急騰したこと
により、10〜12月期配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約1,100円の
値上げを決定した(9/24)。専門農協系および商系もそれぞれ引き上げた。

<最近の原料コスト動向等>

@ とうもろこしのシカゴ相場は、長雨による作付けの遅れ、その後の降雨不足
  と高温による生育状況の悪化により基準となる相場が270セント/ブッシェル台
  と急騰した。米国農務省の今後の見通しでは、生産数量の下方修正の可能性が
  強く、燃料用アルコール生産増加等により、価格は強含みに推移すると予測し
  ている。

A 副原料の大豆かす価格は、シカゴ定期の大幅上昇の結果強含みに、魚粉価格
  はペルーの漁獲が安定、牛用飼料への魚粉使用の禁止から需給は落ち着き始め
  て弱含みに推移すると見込んでいる。

B 為替レートは、イラク情勢や経常赤字等で米国経済動向が不透明なこと、日
  本の金融システムも日経株式平均がバブル後最安値をつけるなど、不安要因が
  あること等からドル安・円安が拮抗すると見込まれる。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常補てん金1,050円/トンが交付される。

 図12 副原料の輸入価格(CIF)

 資料:財務省「貿易統計」



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