トピックス

●●●平成15年度第1四半期のトリガー数量例年のほぼ半数量になる見込み。●●●

 7月31日の財務省告示で関税暫定措置法に係る平成14年度第1四半期の輸入牛肉数量
が公表された。これによると第1四半期の生鮮等牛肉は54,327トン、冷凍牛肉は57,812
トンであった。この数量は当該期の関税の緊急措置の発動基準のうち、生鮮等牛肉で
50.3%、冷凍牛肉では53.0%に留まった。これは国内初のBSEの確認による牛肉離れの
影響で、牛肉の輸入数量が前年度後半に引き続き14年度4月から6月までの輸入量も前
年の60%前後に留まったことによる(図1)。

 牛肉の場合、関税の緊急措置の発動基準量は前年同期の117%であるため、来年度の
第1四半期の発動基準量は生鮮等牛肉で63,563トン、冷凍牛肉は67,640トンとなる。こ
れら数字は、生鮮等牛肉、冷凍牛肉ともに平成8年度以降第1四半期の中で最も低いも
のとなった(図2)。消費が順調に回復していけば、来年度第1四半期の関税の緊急措
置の発動は必至になろう。

図1 第1四半期発動基準数量(前年比)

資料:財務省「告示」
注:15年度は推計値

図2 牛肉輸入量と発動基準数量(第1四半期)

資料:財務省「告示」
注:15年度は推計値


●●●8月1日より2年連続で関税の緊急措置発動●●●

 財務省は、7月31日、豚肉等の関税の緊急措置の発動日を8月1日とすることを告示し
た。制度導入後の同措置の発動は、7年11月〜8年3月、8年7月〜9年3月、9年4月〜6月、
13年8月〜14年3月に続いてこれで5度目となる。

 これは平成14年4月から6月までの豚肉等の輸入量が218,151トンとなり、あらかじめ
財務省が告示した第1四半期の発動基準数量207,038トン(過去3年における当該期間中
の平均輸入量の119%)を超えたため、関税暫定措置法に基づき年度の残りの期間につ
いて、基準輸入価格を(WTO譲許水準に)引き上げるものである。

 13年9月に国内でBSEが発生し、牛肉からの代替需要から豚肉は高値相場となった。
このため豚肉の輸入量は、緊急措置発動下でありながら10月以降増加傾向で推移した。
そんな中、14年4月からは緊急措置が解除されることから、通関を3月から4月に一部繰
り延べた分を含め4月の輸入量が急増、これが第1四半期の輸入量を押し上げる形となっ
て発動基準を上回った(資料編P31、32 参照)。なお、発動後の基準輸入価格は、以
下のとおり(図3)。

 ・枝肉  409.90円/Kg → 510.03円/Kg
 ・部分肉 546.53円/Kg → 681.08円/Kg
 また、輸入品推定期末在庫量は、14年1月以降積み増しを続け、6月は輸入量が少な
かったことから取り崩され6月末では、134,771トン(▲4.1%)。8月以降はこの緊急
措置により輸入量は減少、ついては在庫の取り崩しが進むと考えられる。

図3 平成14年度関税の緊急措置発動の概念図(部分肉)


●●●鶏肉購入量は増加傾向●●●

 総務省が発表した平成14年6月の家計調査結果によると、全国1人当たりの消費支出総
額は91,244円で前年同月を3.0 %増加し、その内の食料費は23,879円と2.7%の増加と
なった。景気低迷により食料消費は減少傾向にあったが、景気が底をうったとの政府の
発表どおり、14年3月から前年を上回って推移しており、増加傾向にある。BSE発生以来
10ヵ月が経過しているが、代替需要が落ち着きを取り戻しているものの、鶏肉需要に陰
りは見えていない。6月の1人当たりの購入量の伸び率は7.6%増で、豚肉の6.3%を上回
った。鶏肉は焼き肉の需要が見込めないため、例年落ち込む夏場ではあるが、その傾向
は見えていない。金額においても11.7%増と豚肉同様かなりの程度上回っている。牛肉
については、需要が完全に回復していないものの、▲9.8%と回復基調にあり、夏場の焼
き肉需要を期待したい。

図4 鶏肉家計消費(全国1人当たり)前年比の推移

資料:総務省「家計調査報告」


●●●財務省、ナチュラルチーズの定義変更●●●

 財務省は7月1日、関税分類におけるナチュラルチーズの定義を一部変更した。

 この定義はコーデックス規格に合わせたもので、「たんぱく質の凝固」を明確に打ち出
している(表1)。

 定義変更と同時に、たんぱく質の凝固を確認する「チーズ中のたんぱく質と脂肪の二重
染色試験法」(平成14年5月 関税中央分析所 税関分析法No.124)が新試験法として同じく
7月1日から税関で導入された。

表1 ナチュラルチーズの定義

分類例規(昭和62年12月23日付蔵関第1299号)第2部04.06項の1中


●●●ドレッシング類原料卵使用量、4年連続増加●●●

 JAS法(日本農林規格)ではドレッシング類のうちマヨネーズを半固体状ドレッシングと
して区分しており、原材料は卵黄または全卵、食用植物油脂、食酢、調味料、香辛料等で
油脂分65%以上と規定している。

 農林水産省総合食料局 食品産業振興課の資料によると、マヨネーズを含むドレッシング
類の原料卵の消費量は、13年度は75,423トン(5.1%)とやや増加し、4年連続の増加とな
った(図5)。

 マヨネーズと液状ドレッシング等と合わせたドレッシング類全体の生産量は、13年度は
391,763トン(2.5%)とわずかに増加した。内訳を見るとマヨネーズ生産量は240,725トン
(0.9%)とほぼ前年並みであったのに対し、液状ドレッシングは151,038トン(5.1%)と
やや増加している。原料卵の増加の主要因は、液状ドレッシングの増加によるものと推定
される。

 消費面でも、家庭における調理方法や外食メニューの多様化等を背景に、ドレッシング
類の消費は増加傾向にある。総務省「家計調査報告」によるマヨネーズ・ドレッシングの
家計消費量は、13年度は1,509g/人(2.3%)とこちらも4年連続で伸び続けている(図6)。
 
 しかし、直近の動向を見ると14年4〜6月の累計では409.9g/人(▲0.9%)となっている。

図5 ドレッシング原料卵使用量の推移

資料:農林水産省総合食料局 食品産業振興課

図6 マヨネーズ・ドレッシングの年間家計消費量(全国1人当たり)

資料:総務省「家計調査報告」








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