◎地域便り


茨城県 ●「農業と食の安心に関する講演会」開催される

茨城県/舘野 英喜


 平成14年12月10日、茨城県県西地方総合事務所管内の肉用牛農家、酪農家が
組織している団体、茨城県西肉用牛肥育技術研究会、茨城県西酪農連絡協議会
が、共同で食の安心に関する講演会を開催した。

 講演会は、「農業と食の安心に関する講演会〜畜産を中心とした食の安全に
ついて考える〜」をテーマに、下館市の茨城県県西生涯学習センターを会場と
して開催された。

 当日は、前日に県内全域で大雪に見舞われ、講演会への多数の参加がないの
ではと心配されたが、畜産農家と消費生活グループの方々を中心に100名の参
加者を得た。

 今回の講演会を共催した2団体は、以前から畜産技術や経営向上につなげる
内容の講演会を年1回程度開催していたが、今年度は、BSE問題、一連の食肉偽
装問題等を受け、生産者である畜産農家と消費者が同じ場に立って、食の安全
・安心について共に考える必要があるのではないかとの認識を持ち、農業と食
をテーマとする初の講演会の開催となった。

 講師には、全農東京支所畜産生産部の冨谷尚博氏、茨城大学農学部の中島紀
一教授のお二人を招き、それぞれの立場から生産物のトレーサビリティ、消費
者を念頭においた安全・安心な農畜産物のあり方などについての講演が行われ
た。

 冨谷尚博氏は、全農が取り組んでいる「食肉トレーサビリティシステム」の
考え方および現在の推進状況などの他、農家を中心に生産・流通について供給
サイドによる留意点、システムを中心に講演された。

 中島紀一教授は、日本の農業特に畜産が本来あるべき姿、消費する側からみ
た農畜産物の安全性、安心できる農業生産体系などを中心に話を進められた。

 また、中島教授は、「日本の畜産は、規模拡大および集約的飼養管理技術に
よる低コスト化一辺倒の考え方から脱却し、農家個々の労働力に見合った余裕
をもった経営を目指す時期に来ており、そのことが安心な農産物を求める消費
者のニーズに適合するのではないか」との提言もされた。

 講演会の出席者からは、安心な農畜産物、安心される農業生産について考え
る契機となったとの話も聞かれ、大変好評であった。

 中には、家庭でできるチーズの作り方などの質問も出て、終始なごやかなう
ちに講演会が終了した。

 当事務所も、講演会開催に協力するとともに、会場の入り口周辺には、農畜
産業振興事業団から借用したBSE関連パネル、食肉および牛乳関係PRポスター
等を展示し、畜産関連の各種パンフレット類(全国、県、県西の畜産統計、家
畜の一生等)の配布等を行い、消費者に畜産に対する理解を一層深めてもらう
ための絶好の行事であった。
【講演会風景】

    
【パネル展示】

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