トピックス

●●●肉用牛飼養頭数わずかに減少●●●

 このほど公表された農林水産省「乳用牛及び肉用牛の飼養動向」によると、
平成14年8月1日現在の肉用牛の飼養頭数は、前年同月比0.6%減で1万8
千頭少ない280万頭であった(図1)。肉用牛の飼養頭数は、14年2月時
点ではBSE発生による出荷の抑制等の原因による一時的な飼養頭数の増加が
あったが、今回調査によると、平成5年以降の通常年ベースの減少トレンドに
戻ったものと考えられる。

 また、14年7月までの月別出生頭数の前年同月比を、それぞれの品種の出
荷月齢に応じてスライドさせ、この結果を15年度の出荷頭数の前年同月比で
あると仮定して試算してみると、図2のとおりとなる。前年同月比の15年度
単純平均したものを品種別にみると、和牛はわずかに上回り2.3%贈、乳用種
去勢は前年並み、交雑種はかなりの程度下回り6.3%減になる。
◇図1:肉用牛の飼養頭数◇
◇図2◇


●●●子取り用雌豚の飼養農家、大規模化が加速●●●

 当事業団の補助事業である養豚振興体制整備事業の1つとして(社)全国養
豚協会が実施している「子取り用雌豚飼養頭数と戸数」調査によると、14年
8月1日現在の子取り用雌豚は、917,379頭となった。11年以降、経営中止
等により毎年約1万頭ペースで減少し続けていた子取り用雌豚飼養頭数は、1
4年は前年同期に比べ0.6%の増加となった(図3)。これは、BSEによる
牛肉の代替需要等により例年と比べて豚価が高かったため生産者の増頭意欲が
増したことが一因と考えられる。

 これを飼養規模別に見ると200頭前後を境に、200頭以下の層では減少、
200頭以上の層では増加し、飼養形態が大規模化している。この傾向は11
年以降、依然として変わっていない。

 特に1,000頭以上の層では前年同期比が8.9%増と伸びが大きく、大規模化が
加速しており小規模層での減少を補ってなお大規模層での増頭があったことと
なる(図4)。
◇図3:子取り用雌豚の飼養頭数の推移◇
◇図4:規模別構成割合の推移(子取り用雌豚)◇


●●●11月末の鶏肉の推定出回り量、昨年を下回る●●●

 11月末の鶏肉需給動向によると、国内生産量は105,282トン(前年同月比6
.1%増)、輸入量は50,615トン(前年同月比25.4%減)と、国産、輸入を合わ
せた全供給量は155,897トン(前年同月比6.7%減)で11,180トンの減少となっ
ている。需要が上向く年末を控えての供給量の減少にもかかわらず、推定期末
在庫量は輸入品、国産品共に昨年を大幅に上回っている。推定出回り量は国産
品は前年をやや上回るものの、国産志向により輸入品は大幅に下回っており、
国内物と輸入物の合計は、15万トン台にとどまった。
◇図5:推移出回り量◇


●●●鶏肉輸入量、ブラジル産がトップに●●●

 財務省が12月26日に公表した貿易時計によると、11月の鶏肉の輸入量
は50,615トンと前年同月を25.4%下回った。昨年はBSEによる代替需要もあ
り、6万8千トン弱という特殊な事情があった。昨年累計(4〜11月)で見
ると、338,993トンと昨年同期を5.9%下回っている。11月の国別輸入量を見
ると、国別シェアでブラジルが35.8%とトップとなった。次いでタイ産(30.1
%)、中国産(21.7%)、米国産(11.7%)となっている。ブラジル産急増の
要因はEU向けが減少し、日本向けにシフトしていることと、比較的低価格な
ことである。

 一方、鶏肉の調製品の輸入量は、11月は前年同月比5.6%増の20,653トン
となり、中国産(66.7%)とタイ産(31.8%)の2ヶ国でほとんどのシェアを
占めており、4月〜11月の年度累計では、前年同期を21.3%上回り、148,66
8トンとなっている。
◇図6:国別輸入量の推移◇


●●●乳用牛飼養頭数、0.8%増加●●●

 農林水産省が公表した「乳用牛及び肉用牛の飼養動向」によると、平成14
年8月1日現在の乳用牛飼養頭数は、北海道が87万2千頭(1.8%)と増加、
都府県が86万2千頭(▲1.1%)と減少、全国では173万3千頭(0.8%)
と前年同期に比べ1万4千頭増加した。

 「経産牛」は、北海道で1.7%増、都府県では▲0.2%減で、全国では112
万9千頭(0.6%)となった。

 「未経産牛」は北海道が37万3千頭(1.8%)と増加、都府県で23万1
千頭(▲0.1%)と減少、全国では60万4千頭(1.1%)と増加した(図7)。

 年齢別飼養動向を見ると、「2歳」が都府県では5.0%減と大きく落ち込み、
北海道では1.3%増、合計で1.9%減の25万8千頭となった。「9歳以上」は、
前年比をみると北海道で26.6%、都府県で21.1%、全国で6万6千頭、23.9%
増となっており、BSEの影響により急激な増加が見られた14年2月調査に
比べるとかなり減少している(図8)。

 14年2月から7月の「分娩頭数」は46万9千頭と前年同期を0.8%上回
った。

 このうち「乳用向けめす」は14万9千頭(2.5%)、「乳用種おす」は1
6万6千頭(0.9%)と前年同期を上回ったが、「交雑種(F1)」は14万
5千頭と前年同期並みであった。
◇図7:状態別飼養頭数の動向(対前年増減率)◇
◇図8:乳用牛「9歳以上」の飼養動向(対前年増減比)◇


●●●乳等省令一部改正●●●

 厚生労働省は平成14年12月20日、乳等省令を一部改正を官報で告示し
た。おもな改正内容は次の通りである。

@ 脱脂粉乳の製造基準を新設する。
A 乳の殺菌基準を「保持式で摂氏63度で30分間加熱殺菌」するように変
  更する。
B 牛乳や加工乳の容器包装にナイロンとポリプロピレンを追加する。
C ナチュラルチーズの定義に「たんぱく質の凝固」を位置づける。
D 乳の残留動物用医薬品を新たに4品目追加する。

 種類別分類の改正については、現在も改正に向けた調整を行っているため、
別途改正することとなった。

表1 乳等省令の主な改正点と試行日



●●●鶏卵の初市、前年同額125円/Kgと安値●●●

 15年1月6日に全国各地で今年初めての鶏卵取引が行われた。初市の鶏卵卸売
価格(東京・全農M)は、125円/Kg(0.0%)と前年同額、2年連続の安値とな
った(表2)。

 例年、年末年始休み明けの鶏卵相場は、休市期間中に滞留した荷が一気に取
引されるため急落する。過去の推移を見ると初市の取引価格は、年末の止市価
格よりおおむね4割安の相場でスタートしている。

 15年初市価格は止市価格より90円値を下げており、減額率は41.9%と近年の
中では最も落差が大きい。鶏卵相場は1月中旬から2月末にかけて寒冷により、
生産量が減少し相場は上昇する(図9)。おでんや鍋物需要等により末端消費
が伸びることで、例年より堅調に相場が推移することを期待したい。

表2 鶏卵の止市・初市価格(東京・全農M 中値)
◇図9:鶏卵卸売価格の推移(東京・M)◇


●●●1〜3月期配合飼料価格、引き上げ●●●

 全農は、海上運賃の上昇と為替相場が円安に向かう見通しにより、1〜3月期
配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約900円の値上げを決定した
(12/20)。専門農協系および商系もそれぞれ引き上げた。

<最近の原料コスト動向等>

@ とうもろこしのシカゴ相場は、9月上旬まで上昇していたが9月中旬以降天
候が改善し、収獲が進展したため生産高予想は上方修正されたが、中国が豊作
で活発に輸出を行い米国の輸出数量は伸び悩んだ。米国農務省フ今後の見通し
では、農家売りが少なくなっていること、米国内の堅調な飼料および工業用需
要から底固い展開になるとみられ、価格は10〜12月期とほぼ同じ水準と予測し
ている。

A 副原料の大豆かす価格は、シカゴ市場で作付時期に高温乾燥が続き上昇し
たが、その後の降雨により下降し165ドル前後で推移。魚粉価格は11月上旬に
主産地ペルーが解禁となり需給は改善に向かい、国内魚粉は生産も需要も低調
なために当面大きな変化がないということから弱含みに推移すると見込んでい
る。

<補てんの実施> 

 配合飼料価格安定制度による通常補てん金1,550円/トンが交付される。こ
れにより農家の実質負担金は、値上げ分900円と10〜12月期の補てん金額1,050
円の合計1,950円と今回の通常補てん金1,550円の差額400円となる。
◇図10:副原料の輸入価格(CIF)◇

 


元のページに戻る

月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る