★ 農林水産省から


畜産物の需給

−その動向と見通し−

総合食料局 食料政策課 佐藤 千栄子


はじめに

 「畜産物の需給〜その動向と見通し〜」については、食料需給予測部会畜産物
第1小委員会(牛肉・豚肉および牛乳乳製品)(4月18日開催)および畜産物第
2小委員会(鶏肉・鶏卵および飼料)(4月10日開催)において検討され、5月
10日に公表された。ここではそのうちの食肉部分(牛肉・豚肉・鶏肉)について
その概要を紹介する(全文については、農林水産省のホームページに掲載
(http://www.kanbou.maff.go.jp/www/jk/index.html))。
 なお今年度は、食料の安定供給のため国内外の食料需給の動向について、基礎 的な統計情報等の収集とその要因分析を行い、農業者のほか消費者・実需者に対 し、わかりやすく正しい情報の提供を行うことを重視し、需給動向に主眼を置き 作成した。

最近の牛肉の需給動向

 消 費
 14年度の牛肉の消費動向を推定出回り量から見ると、13年度に比べ回復してい るものの、BSE発生前の12年度の水準に比べると1〜2割の減少となっている。 また、輸入品の回復度合いが国産品に比べ遅いことがうかがえる。



供 給
 国内生産については、13年度は、BSE対策の一環として生産者に対し30カ月 齢以上の牛の出荷自粛要請を行ったこと等から肉専用種および乳用種等ともに減 少したが、14年度は乳用種めすの高齢廃用牛での出荷停滞の反動等から乳用種等 のと畜頭数の増加がみられた。
 輸入については、14年度については、期首在庫水準が高かったこと、国産品に 比べ輸入品の需要回復が遅れていることから年度全体では前年度を下回ったもの の、年度後半は、在庫量の減少等を背景に輸入量は回復傾向となっている。なお、 このような回復傾向が持続し輸入量が前年同期に比べて一定量増加すれば、関税 が自動的に引き上げられる緊急措置が発動される。



卸売価格
 枝肉卸売価格(省令規格)については、14年度に入って回復傾向となり、高値 警戒感からの一時的な価格の低下もみられたが8月以降は概ね安定上位価格を上 回る水準で推移した。

最近の豚肉の需給動向

消 費
 14年度の豚肉の消費動向を推定出回り量から見ると、BSE発生の影響による牛 肉の代替需要から、BSE発生前の12年度の水準を上回って推移している。輸入品 については前半は前年に引き続き代替需要の影響により前年同期を上回って推移 し、後半も大きく増加した前年同期と比べると下回っているものの、BSE発生前 の12年度の水準に比べると上回って推移している。一方、国産品については14 年度に入って、BSE発生前並みの水準で推移している。



供 給
 国内生産については、14年度はBSE発生による牛肉の代替需要の影響によりほ ぼ前年度並みとなっている。
 輸入については、14年度は、BSE発生による牛肉の代替需要により豚肉消費が 好調であったこと、14年4月に13年度の関税の緊急措置が解除されたこと等か ら輸入量が急増した。その結果、14年8月1日から関税の緊急措置が発動された が、引き続き需要が好調なことから輸入量は年度全体でも増加している。 卸売価格
 枝肉卸売価格(省令規格)については、14年度は、13年のBSE発生による牛 肉の代替需要の影響による堅調な需要から、8月までは安定上位価格を上回って推 移した。しかし、9月以降出荷頭数の増加に伴い低下し、概ね安定基準価格帯内 で推移している。

最近の鶏肉の需給動向

消 費
 14年度の鶏肉の消費動向を推定出回り量の動向から見ると、全体としては前半 はBSE発生に伴う牛肉の代替需要の影響により増加傾向で推移した後、10月以降 は大きく伸びが鈍化した動きとなっているが、国産品については相次ぐ偽装表示 問題を契機とした国産肉志向の顕在化等から堅調に推移している。  供 給
 国内生産については、14年度は偽装表示問題を契機とした国産肉志向の顕在化 やBSE発生に伴う牛肉の代替需要等により増加している。
 鶏肉全体の輸入量については、14年度は偽装表示問題を契機とした国産肉志向 の顕在化により在庫水準が高まったことや、米国での鳥インフルエンザの発生、 中国の衛生問題等により輸入が手控えられ減少となっている。
 鶏肉調製品の輸入量については、引き続き増加傾向で推移しており、鶏肉全体 に占めるそのシェアは拡大し14年度では鶏肉調製品は23%となっている。



卸売価格
 14年度は、「もも肉」については、年度前半は米国産鶏肉の輸入一時停止措置、 牛肉の代替需要の継続や国産肉志向の顕在化等により、前年を大幅に上回って推 移したものの、後半は高騰した前年度を下回って推移している。
 「むね肉」については、14年度は12年度の水準にまで低下。



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