◎地域便り


沖縄県 ●「琉球長寿豚」とともに

沖縄県/安富祖 誠


 「琉球長寿豚」を育てる端慶山良信(50歳)さんの農場は、沖縄本島のほぼ中
間地点に位置する金武町にある。金武町はキャンプハンセン基地のある町で、金
武鍾乳洞があり、オーダーがあれば地元の泡盛を鍾乳洞内で保存することが可能
で、自分好みに熟成された古酒を堪能したいと思う、お酒通の方々には人気のあ
るスポットとなっている。

 端慶山さんが、養豚を始めた動機は、親が元々やっていたため、手伝いで小学
校3年生のころから豚のことを学び、また、豚が本当に好きであったため、何の
迷いもなく、高校3年生からは、独立し経営者となったそうである。当時は、母
豚数が17頭からスタートし、こつこつ努力した結果、今では母豚数が450頭、農
場は3カ所、従業員数11名となり、冠婚葬祭以外は年中無休で忙しい日々を送っ
ている。

 「琉球長寿豚」の特徴は、味にはコクがあり、脂肪は白く、獣肉臭が少ない豚
肉で、その交配様式は(ランドレース×大ヨークシャー)×デュロックで、餌は
麦を主体にミネラルを多く含んだ海藻類を配合した専用飼料を使っており、肥育
期間は肉質を熟成させるため、少し長めの設定で、210日としている。

 沖縄が長寿県であるということと、豚肉は、良質な必須アミノ酸とビタミン類
を多く含むため長寿には欠かせない食品と考え、命名したとのことであった。

 また、「健康な豚でなければ、長寿はあり得ない、豚の健康が一番!!」と、
飼育する豚の常日頃の健康状態とストレスを感じさせない飼養環境作りに気を使
っており、薬剤使用を極力さけ、消費者に安心して食べてもらうことをモットー
にしている。そのため、畜産物フェアなどの地域イベントの際には、自ら率先し
て参加し、消費者に直接PRするとともに消費者の反応を観察するなどしており、
「琉球長寿豚」に賭ける熱意が感じられる。

 現在は、毎月700頭を県内の食肉センターにと畜出荷しており、その8割が首
都圏の大手スーパーへと取引されていて、NHKドラマ「ちゅらさん」以降の沖縄
ブームと口コミでおいしいとのうわさが広まったため、ますます、県外からの問
い合わせが増えており、規模を拡大したい希望はあるそうだが、16年施行の家畜
排せつ物法や、本人が維持管理できる適正規模を真剣に考えており、後を引き継
ぐ息子さんのためにも、将来の展望として、規模拡大については慎重に検討して
いきたいとのことであった。

 最後に、16年度以降はふん尿処理等の環境問題で生産費がさらにアップするの
が予想されるため、経営難から養豚農家がやめていくことが心配で、頭の痛い問
題ではあるが、県内の養豚仲間と協力し合い、互いにもっとおいしい豚肉作りを
切磋琢磨して、追求して行きたいとのことであった。
【端慶山 良信さん】

    
【2月に開催された
 「ま〜さん祭」にも参加】
 ま〜さんとはおいしいの意味

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