★ 事業団から


統計解説シリーズ輸入牛肉・輸入豚肉について

企画情報部 情報第一課




はじめに

 畜産の情報(国内編)の巻末にある各畜種の需給表の解説を行うこととする。
牛肉(資料11ページ)・豚肉(資料28ページ)の生産量は、農林水産省「食肉
流通統計」から各月ごとの生産量に0.7を乗じて部分肉ベースに換算し直して
いる。

 推定期末在庫は農畜産業振興事業団が全国で営業倉庫調査を行い、求めた数
量である。推定期末在庫の数量はそのまま次月の推定期首在庫になる。

 推定期首在庫に生産量および輸入量を加算し、輸出量および推定期末在庫を
引くとその月に出回った肉の数量を推定することができる。


税率とHS条約

 税率は関税定率法別表、WTO譲許表、関税暫定措置法別表によって実行税率
が決まる。これらの関税率および統計に関する各表はHS条約(商品の名称及び
分類についての統一システムに関する国際条約)の品目表(部、類、番号)に
従っている。

例)第1部 動物(生きているものに限る。)
      及び動物性生産品
  第2類 肉及び食用のくず肉

番 号	統計細分	品 名	税率/暫定
02.01		牛の肉
02.01.10	000	枝肉及び半丸枝肉	38.5%


牛肉

 輸入量・輸出量は財務省「貿易統計」の数字を使っている。当事業団の需給
表の輸入量に集計しているのは、牛肉の場合は輸入自由化前のIQ品目(輸入割
当品目)である。そのため、「煮沸肉」および「くず肉のうちほほ肉および頭
肉」を合計して輸入牛肉の数量としている。数量については枝肉・半丸枝肉、
骨付き肉(四分体等)は国内産牛肉の生産量と同様に0.7を乗じて部分肉数量
に換算して集計している。時々問い合わせのある牛タンは関税分類上くず肉の
取り扱いとなっている。生鮮・冷蔵の場合の牛タンは臓器および舌として一括
して分類されるため、牛タンだけの数量を表示できない。
【証明書番号が押印されている
アメリカ産フローズンビーフ】
 平成13年のBSEの確認により、牛肉全体の消費が低迷したことの影響から、
輸入牛肉の消費の回復が遅れ、平成14年度は前年度のほぼ9割(2月現在)しか
輸入数量がなかった。そのため平成15年度における牛肉の関税の緊急措置(SG)
の発動の可能性が高くなっている。

 関税の緊急措置の発動基準数量は財務省「告示」により毎月末にその年の年
度の初日から当該月の月末までの累計値を生鮮等牛肉と冷凍牛肉の区分で公表
される。告示により公表される数値は巻末の17ページの「関税の緊急措置の発
動基準数量」にあるとおり、輸入数量累計(B)である。

 当該月の輸入数量累計(B)から前月公表された輸入数量累計(B)を減ずれ
ば当該月の輸入数量がわかる。しかしながら、財務省「告示」による数量は枝
肉ベースのため、事業団の牛肉輸入数量とは一致しない。冷凍牛肉は輸入牛肉
の骨付き肉の輸入数量の実績が少ないことから、生鮮等牛肉ほど差がない。

 牛肉の関税の緊急措置の発動基準数量(A)は前年度の各四半期ごとの累計
に117を乗じた数量である。これを超えた場合は、超えることとなった翌々月
の初日から当該年度の末日までの関税率が50%に引き上げられる。また、年度
末に輸入数量が発動基準量(A)を超えた場合は、翌年度の第1四半期のみ関税
率が50%に引き上げられる。

牛肉の集計対象の関税分類

0201	牛の肉(生鮮のものおよび冷蔵したもの)
  0201.10/000	枝肉および半丸枝肉
  0201.20/***	その他の骨付き肉
  0201.30/***	骨付きでない肉

0202	牛の肉(冷凍したもの)
  0202.10/000	枝肉および半丸枝肉 
  0202.20/***	その他の骨付き肉
  0202.30/***	骨付きでない肉

0206.10/020	食用のくず肉、牛のもの(生鮮のものおよび冷蔵したもの)、
	ほほ肉および頭肉

0206.29/020	食用のくず肉、牛のもの(冷凍したものに限る)、
	ほほ肉および頭肉

1602.50/910	煮沸肉
【アメリカ産フローズン
ビーフ外観】


豚肉

 豚肉も牛肉同様に当事業団が輸入数量として公表しているのは財務省「貿易
統計」の数字であり、枝肉、骨付き肉の数量に0.7を乗じて部分肉数量に換算
して集計したものである。また、生きている豚についても集計対象になってお
り、生体にて輸入された豚1頭につき54キログラムを乗じて部分肉に換算した
ものを合計している。

 豚肉の集計対象の関税上の分類は、課税価格に従って

@従量税適用限度額価格以下のもの
A従量税適用価格を超え、分岐点価格以下のもの
B分岐点価格を超えるもの

に分けられる。
【メキシコ産冷凍豚肉外観】
 巻末31ページにある豚肉の関税の緊急措置等の発動基準数量は財務省「告示」
にて公表された豚肉等と生きている豚および豚肉等の2つに区分され、毎月末
にその年の年度の初日から当該月の月末までの累計値が公表される。当該月累
計から前月累計を減じれば当該月の輸入数量を計算できる。この数値は牛肉同
様枝肉ベースが採用されており、生きている豚および豚肉等も1頭に54キログ
ラムを乗じて数値換算している。
【メキシコ産冷凍豚肉ロース】
 各四半期ごとの豚肉等の関税の緊急措置(SG)の発動基準量は、過去3年間
の平均輸入数量に119を乗じたものである。これを超えた場合、超えることに
なった月の翌々月の初日から当該年度の末日まで基準輸入価格が引き上げられ
る。当該年度の累計輸入数量が前3年度の平均輸入数量の119を超えた場合は、
翌年度の第1四半期についてのみ基準輸入価格が引き上げられる。豚肉の場合
は生鮮・冷蔵豚肉、冷凍豚肉、豚のくず肉、ハムおよびベーコン等の加工品が
一体として運用される。

 SSG(特別セーフガード)は生きている豚および豚肉等の区分に適用され、
SGが四半期ごとの区分に対し、年度間の運用となっている。SSGの輸入基準数
量は市場アクセス機会により異なるが、わが国は国内消費の30%を超えている
ため、過去3年間の平均輸入数量に105を乗じたものになる。当該年度の各月の
累計輸入数量が輸入基準数量を超えた場合は超えることとなった月の翌々月の
初日から当該年度の末日まで関税が引き上げられる。
【メキシコ産豚肉サンプル】
豚肉の集計対象の関税分類

(生鮮のものおよび冷蔵したもの)

  0203.11/020,030,040	枝肉および半丸枝肉
  0203.12/020,030,040	骨付きのもも肉および肩肉ならびにこれらを分割し
             たもの(骨付きのもの)
  0203.19/020,030,040	その他のもの

(冷凍したもの)

  0203.21/020,030,040	枝肉および半丸枝肉
  0203.22/023,021,022	骨付きのもも肉および肩肉ならびにこれらを分割し
             たもの(骨付きのもの)
  0203.29/023,021,022	その他のもの
  0206.30/093,092,099	食用のくず肉、豚のもの(生鮮のものおよび冷蔵し
             たもの)、臓器以外のもの
  0206.49/093,092,099	食用のくず肉、豚のもの(冷凍したものに限る)、
             臓器以外のもの

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