◎地域便り


兵庫県 ●淡路島で誕生したハーブ牛乳「心にやさしい牛乳」

兵庫県/出口 佳宏


 近年、ハーブは生活の中でさまざまに利用されており、その有用な作用とし
ては、食欲増進をはじめ、臭みを取り、香り付けの作用などが知られており、
特に最近では抗酸化作用、抗菌作用が注目されている。淡路農業技術センター
では、ハーブを飼料として乳牛に給与し、ハーブの持つ有用な機能性を牛乳中
に移行させることができれば、健康食品として牛乳の消費促進につながると考
え、平成10年度より農林水産省のプロジェクト研究により、ハーブ牛乳の研究
に取り組んできた。

 一口にハーブといっても、ペパーミント、レモングラス、オレガノ、クロー
ブなど多種多様であり、牛たちが好んで食べる種類もあれば、嫌がる種類もあ
る。また、飼料としての栽培特性、ハーブ牛乳そのものの味やのどごし、香り
など、種々の試験を繰り返しながら、数あるハーブの中から有望ハーブを選定
するとともに、乳牛への給与方法、給与量、牛乳中への主要精油成分移行特性
などについて研究を行った。

 この研究を機に、地元淡路島の洲本市酪農農業協同組合では、ハーブ牛乳の
製造に取り組みはじめ、2年の歳月を費やし、平成12年12月、日本で初めての
ハーブ牛乳を販売するに至った。使用したハーブはペパーミントであり、完成
したハーブ牛乳はアロマテラピーをイメージし「心にやさしい牛乳」と名付け
られた。また、風味を損なわないように低温殺菌処理されており、180ミリリ
ットルパックにより島内の小売店をはじめ、大手デパートで販売されている。
洲本市酪農協での農家限定、個体集乳、専用貯乳、専用充填ラインなど、コス
トを考えないハーブ牛乳製造への取り組みは、まさにこだわりのなせる業とい
える。こういった熱意が認められ、「牛乳独特の臭いが抑えられ、今まで牛乳
が苦手だった人でもスムーズに飲める」と消費者から大変好評を得ている。

 ハーブ牛乳の生産については、牛乳生産コストなどの問題は残っているが、
機能性およびパウダー化についての更なる研究が進められており、今後も健康
増進に役立つ機能性食品として成長していくことを期待しつつ、ハーブ牛乳の
安定的な生産推進を図っていきたい。
【センターで栽培試験を行って
いるペパーミント】

    
【洲本市酪農協で販売している
ハーブ牛乳】

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