★ 農林水産省から


飼料及び飼料添加物の
成分規格等に関する省令の
一部を改正する省令の施行について

消費・安全局 衛生管理課



はじめに

 牛のせき柱を飼料の原料から排除するための新たなリスク管理措置については、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令(平成16年農林水産省令第4号。以下「改正省令」という。)が公布され、5月1日から施行することとされた。その概要については、以下のとおりである。

改正の趣旨

 背根神経節を含む牛のせき柱については「特定危険部位に相当する対応を講じることが適当」との食品健康影響評価の結果が、平成15年11月21日に食品安全委員会より示されたところである。

 現在、飼料については、特定部位(牛海綿状脳症対策特別措置法第7条第2項に規定する特定部位をいう。以下同じ。)についてはと畜場における焼却が義務付けられていることを前提として、牛海綿状脳症のまん延防止を図るためのリスク管理措置を講じている。

 しかしながら、牛のせき柱については、これまでの特定部位と異なり、と畜場での焼却が義務付けられていないことから、牛のせき柱を飼料の原料から排除するための新たなリスク管理措置を講じる必要がある。

 このため、牛等(牛、めん羊、山羊およびしかをいう。以下同じ。)用飼料について、レンダリング処理された反すう動物由来の動物性油脂の使用を禁止するとともに、家畜等(牛等を除く。)用飼料について、牛のせき柱および死亡牛に由来する動物性油脂を含むことを禁止し、これらが含まれていない製造工程で製造されていることについての農林水産大臣の確認制度の導入等を行うこととし、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和51年農林省令第35号。以下「省令」という。)について所要の改正を行ったものである。

改正の概要

1 成分規格について

(1)牛等を対象とする飼料ほ乳期子牛等育成用代用乳用配合飼料を除く。以下同じ。)は、動物性油脂(牛のせき柱(胸椎横突起、腰椎横突起、仙骨翼および尾椎を除く。以下同じ。)およびと畜場法(昭和28年法律第114号)第14条の検査を経ていない牛の部位が混合しないものとして農林水産大臣の確認を受けた工程において製造された油脂(以下「確認済動物性油脂」という。)であって反すう動物由来動物性油脂(反すう動物に由来する動物性油脂をいい、特定動物性油脂(食用の肉から採取した脂肪のみを原料とするものであって、不溶性不純物の含有量が0.02%以下であるものをいう。以下同じ。)を除く。以下同じ。)を含まないもの並びに特定動物性油脂を除く。)を含んではならないこととされた(省令別表第1の4の(1)のウ)。

(2)家畜等(牛等を除く)を対象とする飼料は、動物性油脂(確認済動物性油脂および特定動物性油脂を除く。)を含んではならないこととされた(省令別表第1の4の(1)のエ)。


2 製造方法の基準について

(1)動物性油脂(確認済動物性油脂であって反すう動物由来動物性油脂を含まないものおよび特定動物性油脂を除く。)は、牛等を対象とする飼料に用いてはならないこととされた(省令別表第1の4の(2)のイ)。

(2)動物性油脂(確認済動物性油脂および特定動物性油脂を除く。)は、家畜等(牛等を除く。)を対象とする飼料に用いてはならないこととされた(省令別表第1の4の(2)のウ)。

3 使用方法の基準について

(1)動物性油脂(確認済動物性油脂であって反すう動物由来動物性油脂を含まないものおよび特定動物性油脂を除く。)を含む飼料は、牛等に対し使用してはならないこととされた(省令別表第1の4(3)のア)。

(2)動物性油脂(確認済動物性油脂及び特定動物性油脂を除く。)を含む飼料は、家畜等(牛等を除く。)に対し使用してはならないこととされた(省令別表第1の4の(3)のイ)。


4 保存方法の基準について

(1)動物性油脂(特定動物性油脂を除く。)を含む飼料は、ほ乳期子牛等育成用代用乳用配合飼料(ほ乳期子牛等育成用代用乳用配合飼料を製造するための原料または材料を含む。)に混入しないように保存しなければならないこととされた(省令別表第1の4の(4)のア)。

(2)動物性油脂(確認済動物性油脂であって反すう動物由来動物性油脂を含まないものおよび特定動物性油脂を除く。)を含む飼料は、牛等を対象とする飼料(飼料を製造するための原料または材料を含む。)に混入しないように保存しなければならないこととされた( 省令別表第1の4 の(4)のイ)。

(3)動物性油脂(確認済動物性油脂および特定動物性油脂を除く。)を含む飼料は、家畜等(牛等を除く。)を対象とする飼料(飼料を製造するための原料または材料を含む。)に混入しないように保存しなければならないこととされた(省令別表第1の4の(4)のウ)。

5 表示の基準について

(1)動物性油脂を含む家畜等(牛等を除く。)を対象とする飼料は、対象家畜等を表示することとされた(省令別表第1の1の(5)のイの(オ))。

(2)確認済動物性油脂を含む飼料には、確認済動物性油脂を含む飼料である旨を表示しなければならないこととされた(省令別表第1の4の(5)のイ)。

(3)確認済動物性油脂(反すう動物由来動物性油脂を含むものに限る。)を含む飼料には、次の文字を表示しなければならないこととされた(省令別表第1の4の(5)のウ)。

1 この飼料は、牛、めん羊、山羊およびしかには使用しないこと(牛、めん羊、山羊またはしかに使用した場合は処罰の対象となるので注意すること)。

2 この飼料は、牛、めん羊、山羊およびしかを対象とする飼料(飼料を製造するための原料または材料を含む。)に混入しないよう保存すること。

農林水産大臣の確認について

1 対象となる動物性油脂について

(1)動物性油脂の製造工程にその部位が混合されてはならないとされている「と畜場法第14条の検査を経ていない牛」とは、農家でへい死した牛など食用に供するためにと畜場でと殺解体に当たって行われるいわゆると畜検査を経ていない牛をいう。このような牛は、頭部、せき髄等の特定部位を完全に除去することが困難であり、また、せき柱も含まれることから、飼料利用を禁止したものである。

(2)動物性油脂の輸入にあたっては、輸入業者は、原料に特定部位およびせき柱が含まれていないこと並びにと畜場法第14条第6項各号に掲げる疾病にかかり、またはへい死した牛由来のものを用いていないことについて証明する製造国の政府機関またはそれと同等の機関の証明書の写しを当該動物性油脂に添付するものとする。

(3)食用として出荷され流通している動物性油脂については、食品衛生法により、牛のせき柱の排除等についての規格等が定められていることから、飼料として利用する場合には、省令別表第1の4の(1)のウに規定する農林水産大臣の確認(以下「大臣確認」という。)は要さない。ただし、食用の動物性油脂と同じ製造工程であっても、飼料用途として特定動物性油脂以外の動物性油脂を製造する場合は、この限りでない。

 また飲食店等から回収された使用済の食用油いわゆる回収食用油を飼料用途として使用する場合にあっては、動物性油脂が混入していないことが明らかな場合(野菜のみを調理した場合等)以外は、動物性油脂として取り扱うこととする。この場合、不溶性不純物の含有量が0.02%以下の回収食用油は特定動物性油脂として、それ以外の回収食用油は確認済動物性油脂として扱う。

 なお、飼料製造業者が回収食用油を使用するにあたっては、回収先のリスト等により当該油脂の製造に用いられた原料の種類、収集先等が確認できるものに限ることとする。

(4)確認済動物性油脂、特定動物性油脂、回収食用油、植物性油脂等を単に混合・調製等したいわゆる混合油脂を製造する工程については、大臣確認を要さない。

2 製造工程の確認手続について

(1)大臣確認(第3の3に規定する変更の確認を除く。)を受けようとする動物性油脂の製造業者は、独立行政法人肥飼料検査所(以下「検査所」という。)を経由して確認申請を行うものとする。

(2)(1)の確認申請があったときは、当該申請に係る製造工程が飼料用動物性油脂の製造工程に関する基準(以下「製造基準」という。)に適合しているかどうかについて確認し、その結果を申請者に通知する。

(3)確認済動物性油脂の製造業者は、製造基準に適合していないものとして当該大臣確認を得られなくなったときは(2)の通知に係る確認書を検査所を経由して返納させるものとする。


3 製造工程の変更確認の手続について

(1)製造工程の変更

ア 確認済動物性油脂の製造業者は、確認を受けた製造工程を変更しようとする場合には、原則として1ヵ月前までに、検査所を経由して変更確認申請を行うものとする。

イ アの変更確認申請があったときは、当該申請に係る製造工程が製造、基準に適合しているかどうかについて確認し、その結果を申請者に通知する。

ウ 確認済動物性油脂の製造業者は、イの規定により製造基準に適合しない旨の通知を受けた場合には、2の(2)の通知に係る確認書を検査所を経由して返納するものとする。

(2)製造基準への不適合に伴う確認書の返納確認済動物性油脂の製造業者は、製造工程の変更等により製造基準を満たすことができなくなる場合には、検査所を経由して農林水産大臣に届け出るとともに、2の(2)の通知に係る確認書を返納するものとする。

(3)その他の変更

 確認済動物性油脂の製造業者は、会社名、事業場名、代表者、本社の住所等の変更、原料収集先の変更その他の軽微な製造工程の変更等がある場合には、遅滞なく、検査所を経由して農林水産大臣に届け出るものとする。

製造設備の故障等についての対応

 確認済動物性油脂の製造業者は、予期しない製造設備の故障等により、大臣確認を受けた製造工程を変更せざるを得ない事態が生じた場合には、直ちに、確認済動物性油脂の製造を一時停止するとともに、その概要を検査所を経由して農林水産大臣に報告するものとする。

帳簿の備付けについて

 動物性油脂は、その由来する動物種不溶性不純物の含有量の違いにより、使用できる対象家畜等が異なることとなることから、飼料またはその原料として用いることができる動物性油脂については、当該油脂の製造に用いられた原料の種類、収集先等が確認できるよう、動物性油脂の製造業者にあっては、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「飼料安全法」という。)第52条の規定に基づき、動物性油脂の原料の由来(確認済動物性油脂または特定動物性油脂の別、由来する動物種等(家きん由来、豚由来、牛由来または回収食用油をいう。)の別をいう。)を帳簿に記載するとともに、同条に準じて製造に係る不溶性不純物の含有量の管理、記録を励行することとする。また、原料収集先の一覧表を備えることとする。

 配合飼料製造業者等において動物性油脂を使用する場合は、当該油脂の由来(原料および回収食用油についてはその回収先等)が確認できるもののみを使用することとする。

施行期日等

1 改正省令は、平成16年5月1日から施行することとされた。

2 大臣確認については、施行期日前においても行うことができることとされた。

  また、改正省令の施行前に製造された飼料については、平成16年6月30日までは、なお従前の例によることができることとされた。

3 なお、施行期日前の大臣確認については、・施行期日において大臣確認を受けていない工程で製造した場合には飼料安全法第4条の規定に違反することとなること、・他方、確認申請から大臣確認までの間には現地調査が必要であるなど所要の日数を要すること、・この場合の所要の日数について業者間で不公平が生じることをできるだけ避ける必要があることから、現地調査等の手続を計画的に進めていく必要がある。このため、平成16年4月中旬を目途にその時点で現地調査が可能な事業場について一斉に現地調査を行い、不十分な事業場における製造工程については、再度、現地調査を行うこととする。

 また、改正省令の施行前に製造された飼料で確認済動物性油脂を含むものは改正省令の施行前であっても確認済動物性油脂を含む旨の表示を行っても差し支えない。



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