◎地域便り


神奈川県 ●環境を考えた食品循環資源で豚肉生産「はまぽーく」

神奈川県/堀 与志美


  横浜市は、平成10年度より市内の学校給食の調理くずや食べ残し、スーパーなどの調理くずを家畜飼料(食品残さ飼料)としてリサイクルするために、「横浜市食品循環資源飼料化協議会」(以下「飼料化協議会」)を発足させ、生ゴミをリサイクルするための具体的な方策を検討してきた。

 一方、この時期に市内の環境処理会社4社が「横浜市有機リサイクル組合」を結成し、プラントメーカーと協力して、生ゴミをボイル乾燥後、高温殺菌処理、脱脂、異物除去する飼料化プラント施設を整備し、生ゴミの飼料化を開始し始めていた。

 当初「飼料化協議会」は、行政独自で飼料化施設の整備を模索していたが、既に、「横浜市有機リサイクル組合」が飼料製造を開始していたこともあり、民活の視点から、平成13年度に同組合を拠点に、市内の養豚農家(5戸)で実証試験を中心に、飼料製造に関わる品質向上の検討および社会循環システムの構築などに取り組み始めた。

 「横浜市有機リサイクル組合」が製造する飼料の主原料は、パンくず、野菜くず、納豆、豆腐、魚介類、肉類、ゆで卵、ヨーグルト、調理加工品のカレーやグラタンなど様々な食品残さだが、その飼料の成分は、粗タンパク質19.3%、粗脂肪4.8%、粗繊維3.2%と一般的な肥育豚用飼料と遜色はない。

 さらに1年余りの実証試験を経て、平成15年には、市内の養豚農家8戸で、豚の肥育前期に「食品残さ飼料」を給与し、生産された豚を「はまぽーく」と名付け、横浜食肉市場(株)に販売を開始した。

 従来、残飯で育てた豚肉は、色が悪く、水っぽく、しまりのない肉になり市場での価値が低かったが、「はまぽーく」の肉質は配合飼料給与の豚肉と比べても問題なかった。試食会では、おいしさ、香り、柔らかさ、脂肪の剰りなどで高い評価を得た。

 現在は、この「飼料化協議会」の事務局をJA横浜に置いて、生産を進めており、生産農家も13戸に増えている。この「はまぽーく」の食品循環資源(食品残さ)飼料は、食品残さの収集から飼料化段階までのトレーサビリティシステムが完成されており、安全性をアピールできることから市場関係者および流通業界にも注目され、横浜市内の学校給食やスーパーでも取り扱いを検討中である。
 
ボイル乾燥方式の飼料プラント
 
「はまぽーく」のシンボルマーク

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