◎地域便り


青森県 ●バイオガスプラントの紹介

青森県/農林総合研究センター 畜産試験場


 青森県農林総合研究センター畜産試験場では、平成15年度事業として家畜排せつ物を発酵原料としたメタン発酵を行うバイオガスプラントを設置したので、その概要について紹介する。

 当県では、冬期間に地域資源を活用した農産物の生産・販売や農産加工などにより就労の促進と収入の拡大を図るため、「冬の農業」を施策として推進している。この技術課題として、太陽光、地熱、風力、バイオマスなど地域新エネルギーを活用した農産物生産の研究開発に取り組んでいる。

 当場が設置したバイオガスプラントは、「冬の農業」の実証およびバイオガスプラントの普及と展示を目的とした施設であり、家畜排せつ物を嫌気発酵させメタンガスを効率的に取り出す技術と、得られたメタンガスを電気や熱エネルギーに変換して園芸ハウスの照明や暖房に活用する技術を研究開発するものである。

 当プラントは、発酵槽、ガスホルダー、スラリータンク、機械棟から構成されている。施設は、搾乳牛60頭分の排せつ物と、県内で豊富に排出されるリンゴジュースかすやナガイモ加工残さなどを700キログラム程度投入できる規模であり、ガスボイラーおよび9.8キロワットガス発電機によりメタンガスを電熱エネルギーに変換する。

 発酵槽は無加温から60度までの発酵温度が設定可能で、容積を3段階に変えられるようにオーバーフローバルブを縦3カ所に配したほか、各配管にはサンプリング孔を設けるなど、さまざまな試験条件に対応可能な装備を設けている。

 今後は、効率的メタン生成技術や食品加工残さなど有機性廃棄物との混合発酵技術、消化液(メタン発酵後に残る液状物)の畑地への施用技術、園芸施設におけるバイオガス利用技術などを研究開発するほか、バイオガスプラント導入が可能な家畜飼養規模や施設運営方法(個別農家型又は広域型)を明らかにするとともに、「冬の農業」による収入や想定されるエネルギー販売を含めた経営経済評価を行っていく予定である。

青森県農林総合研究センター
畜産試験場バイオガスプラント鳥瞰図
 
システムフロー図

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