◎地域便り


埼玉県 ●また食べたくなる、「夢」のような味を求めて!

埼玉県/小川 和泰


 埼玉県開拓農業協同組合連合会に所属する8戸の生産者は、平成14年に夢味牛ゆめみぎゅう生産者部会を立ち上げ、BSEの発生や食品の偽装表示などで落ち込んだ牛肉の信頼を回復するため、安全で、おいしく、値ごろ感のある牛肉を消費者へ届けることを目的に、オリジナルの配合飼料と生産基準で肥育した交雑牛を「 彩の国 夢味牛 さいのくに ゆめみぎゅう 」というブランド名で販売している。

 「夢味牛ゆめみぎゅう」の名前の由来は、「また食べたくなるようなイメージと、肉質が良く、食味のいい「夢」のような味が出せれば」という、生産者の思いが込められている。

 以前は「開拓牛」の名前で生産をしていたが、そのころから飼料にこだわりを持っており、夢味牛のオリジナルの飼料は、分別生産流通管理(IPハンドリング)された非遺伝子組換え穀物のトウモロコシ、大豆油かすを原材料に使用している。

 このため、飼料は通常より割高となり、生産者としても大変な負担となる。この方針を決めた当時は、国内で初めてのBSE発生直後であったこともあり、肉牛生産の今後の情勢に不安を抱え、「消費者に支持されなければ、絶対に生き残れないだろう」と考え、安全・安心を特徴づける取り組みに踏み切った。

 また、飼養管理においても、県が平成14年度に策定した、HACCP方式の考え方を取り入れた「彩の国畜産物生産ガイドライン」に基づき、「導入牛の管理」や「病気の早期発見・治療」などの重要管理点をチェックしていくことにより、安全・安心を心掛けている。

 現在は、県と(社)埼玉県畜産会が進めている畜産物のトレーサビリティシステムのモデル的な取り組みとして、県内の小売店を中心に「生産者の顔」や「生産・流通履歴」がわかる販売を展開している。評判は上々で、口コミによる知名度も高まってきている。今後は、市場などへのPRをさらに積極的に進めるとともに、安定的に出荷できるよう足場を固め、地産地消から始めた活動を県外へ向けても展開できるよう努力している。

 なお、夢味牛生産者部会の会長である山下庄吉さん(62)は、「継続して積み重ねることを大切に、安全で安心な牛肉をリーズナブルな価格で提供できるよう努力し、消費者の信頼を得られるよう頑張りたい。」と後継者の勝さん(32)と一緒に力強く語っている。

 
オリジナル配合飼料にこだわった「夢味牛」
「夢味牛」生産者のみなさん

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