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●●●16年の食肉消費構成割合−牛肉、鶏肉の家計消費割合上昇●●●

 10月25日、農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課は、平成16年次食肉の消費構成割合をまとめた。これによると、豚肉は前年と変わりなかったが、牛肉と鶏肉の家計消費割合は前年に比べ上昇し、その他(外食等)の割合は低下した。

 牛肉は、家計消費が35%、加工仕向が10%とそれぞれ前年比1ポイント上昇し、その他(外食等)は55%と前年比2ポイント低下した。加工仕向割合の内訳を見ると、ハンバーグ・ハンバーガーが4.3%となり、前年を1.9ポイント増加している。これが増加の要因とみられる。

 豚肉の供給量は、牛肉の代替需要などを反映して増加したが、構成割合に大きな変化はみられなかった。加工仕向割合の内訳は、ハム・ソーセージが前年と比べて0.5ポイント減の24.7%。ハンバーグ・ハンバーガーが同0.1ポイント増の0.3%、冷凍食品は同0.1ポイント増加の2.0%、その他は同0.3ポイント増加の2.1%となった。

 鶏肉は、牛肉同様、家計消費が前年比1ポイント増の33%、その他(外食等)が同1ポイント減少の57%となった。

 牛肉と鶏肉のその他(外食等)の構成割合が低下したが、これは、米国産牛肉の輸入停止措置や鳥インフルエンザなどによる輸入量の大幅な減少の影響を外食分野で大きく受けたと考えられる。(図1)

図1 食肉消費構成割合の推移

 

●●●肉専用子牛、肥育牛の所得、前年を大幅に上回る― 平成17年生産費公表●●●

  農林水産省は10月31日、子牛生産費、去勢若齢肥育牛生産費をそれぞれ公表した。

 それによると、子牛生産費は前年に比べて1頭当たり1.3%、肥育牛生産費は1頭当たり12.1%それぞれ増加した。一方、所得は、子牛(繁殖めす牛1頭当たり)は前年比21.9%増加したが、肥育牛は3.8%減少した。

1.子牛(肉専用種)

 全算入生産費の増加は、労働費が0.2%減少したものの、物財費の大半を占める飼料費が、配合飼料価格の上昇などにより3.2%増加したため、全体では1.3%増加した。

 繁殖めす牛1頭当たりの粗収益は、和子牛市場価格が上昇したことにより47万9,950円と前年に比べ9.9%増加し、1頭当たりの所得は22万515円となり、3万9,594円上回る、前年比21.9%増加となった。

2.肥育牛(去勢若齢肥育牛)

 1頭当たりの全算入生産費は、もと牛導入時期(主に平成14年8月〜15年7月)におけるもと牛価格が上昇し、もと畜費が20.1%増加したことなどにより、12.1%増加し80万9,511円となった。

 1頭当たりの粗収益は、和牛市場価格が上昇したことにより前年に比べ10.0%増加し、88万5,545円となった。所得は、15年以降黒字となっていたが、17年は、14万8,296円と前年比3.8%減となったものの収益性は良かった。

表1 食肉の消費構成割合の推移

 

●●●平成17年肥育豚1頭当たりの粗収益は前年比7.3%増●●●

 農林水産省は平成17年10月31日、平成17年の肥育豚生産費(平成16年4月から平成17年3月までの1年間:集計戸数323戸)を公表した。
それによると、肥育豚1頭当たり生産費(資本利子・地代全額算入生産費)は29,943円で、前年に比べ2.3%増加した。

 これは、配合飼料価格の上昇による飼料費の増加などによる。実際、農業物価指数による肥育豚用配合飼料価格は13年度以降4年連続で前年度を上回り、16年度の平均価格は1トン当たり50,683円で平成12年度の約1.2倍となっている。

 生産費の内訳をみると飼料費が19,139円(対前年増減率4.9%増)、労働費が4,581円(同1.2%減)となり、それぞれ費用合計の64.1%、15.4%を占めていた。(図2)10年前と5年前のそれぞれをみると7年は生産費28,009円、飼料費17,281円、労働費5,135円で費用合計に占める割合は57.9%、17.2%であった。また、平成12年では生産費27,779円、飼料費16,811円、労働費4,912円で費用合計に占める割合は56.3%、16.5%であった。

 また、1頭当たりの粗収益は、31,198円(対前年増減率7.3%増)で、前年より2,129円増加した。1頭当たりの所得は、5,085円と前年に比べ32.1%(1,235円)増加した。

図2 肥育豚1頭あたりの生産費内訳の推移


●●●鶏肉調製品の輸入シェアは、タイと中国で2分化●●●

 平成11年度以降鶏肉調製品の輸入量は年間10万トン台となり、その後も増加傾向で推移していたが、16年1月にタイ、中国で鳥インフルエンザが確認され鶏肉の輸入が停止されて以降、輸入量が急増し、鶏肉に代わる商品として地位を確立しつつある。(図3)

 16年度の鶏肉調製品輸入量は前年度比34.2%増の27万トンで、17年度に入ってからも、既に4〜9月累計で17万トン台(前年同期比42.2%増)の輸入となっている。

 鶏肉調製品の主な輸入先はタイ、中国で、それぞれの4〜9月実績は、中国92,371トン(シェア54.6%)、タイは74,596トン(44.1%)で全体を2分している。(図4)

 現在、わが国の家畜衛生当局が指定している家きん肉等の加熱処理施設は、それぞれタイで49施設(10月28日現在)、中国で34施設(6月29日現在)ある。

 両国の特徴としては、中国では焼き鳥などの焼きもの、タイでは唐揚げ、ナゲットなどのフライ類を主な商品としており、加熱施設の整備状況の違いから、それぞれ製造の得意分野があると言う。唐揚げ、ナゲットなどは、家庭内での需要増加が見込める商品だけに、今後のタイからの輸入動向が注目される。

図3 鶏肉と鶏肉調製品の輸入数量の推移
図4 鶏肉調整品別輸入量シェアの推移

 

●●●乳用牛、肉用牛の飼養頭数はともに減少●●●

 農林水産省が公表した「乳用牛及び肉用牛の飼養動向(平成17年8月1日現在)」によると、乳用牛の飼養頭数は、164万1千頭(前年同月比2.5%減)となり、前年同月を4万2千頭減少し、肉用牛の飼養頭数は、274万頭(同2.3%減)となり、前年同月と比べて6万5千頭減少した。

1.乳用牛

 経産牛が105万8千頭(同2.5%減)、未経産牛が58万2千頭(同2.7%減)とともに前年同月と比べて減少した。(図5)

 全体の半数を占める北海道は、経産牛が49万8千頭(同0.6%減)、未経産牛が36万6千頭(同0.3%減)となり全体では864千頭と前年とほぼ同水準であった。都府県は、経産牛が560千頭(同4.1%減)、未経産牛が21万7千頭(同6.2%減)となり、全体では77万7千頭と前年を4.7%減少した。(図6)

 この減少の要因は、高齢化などによる飼養農家の休廃業があったためとしている。

 また、昨年の夏の猛暑の影響などにより、今年の分娩時期がずれ込み、分娩頭数は前年同月と比べて2.3%減少した。

2.肉用牛

 肉用種は、めすは前年同月とほぼ同水準であったが、おすは2.7%減少し、全体では169万9千頭となり、前年同月比1.3%減であった。このうち、生産基盤である子取り用めす牛の飼養頭数は、沖縄では増頭がみられたものの、全体では62万頭(同1.9%減)となり、16年2月以降減少傾向が続いている。

 乳用種は、交雑種、ホルスタイン種他ともに減少し、104万1千頭(同4.0%減)となり前年同月を4万3千頭減少した。(図7)

 これらの減少は、北海道での乳用種の導入による増加や、沖縄で子取り用めす牛の増頭による増加があったものの、枝肉価格が高値で推移していることによる早期出荷と、高齢化などによる飼養農家の休廃業があったためとしている。

図5 乳用牛の飼養頭数の推移


図6 乳用牛の飼養動向(対前年増減比)

図7 肉用牛の飼養頭数

 

●●●増加する殻付き鳥卵の主な輸入先は、米国、ブラジル、オランダ●●●

 近年、鶏卵の需要量は260万トン台で安定的に推移しているが、このうち輸入鶏卵が占める割合は3〜4%程度であった。しかし、国内の卵価が高水準にあったことなどを背景に、16年度は、5.1%(推定出回り量260万トン中、輸入量13万トン)、17年度(4〜6月)は、更に上昇して、6.6%(推定出回り量66万トン中、輸入量4万トン)と、増加傾向にある。

 しかも、17年1〜9月までの輸入量は12万トン(対前年同期比35.6%増)と急激に伸びている。

 最近の輸入鶏卵類の数量について種類別にみると特に殻付き鳥卵(生鮮・冷凍又は冷蔵)はふ化用のものを含み、保存に適する処理をしたものまたは加熱による調理をしたものを含む。)が16年6月以降、徐々に増加し8月には前年同月の300倍を超えた。
輸入された殻付き卵の9割は、国内の割卵業者の原料用となり製パン、菓子などに利用されるという。 

 最近の主な輸入先は、米国、ブラジル、オランダなどであり、17年1月〜9月の累積のシェアはそれぞれ42.1%、31.5%、25.8%となっている。

図8 殻付き鳥卵(生鮮・冷蔵又は冷凍)の国別輸入量の推移

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