◎地域便り


埼玉県 ● 本物の味!埼玉の地鶏「タマシャモ」

埼玉県/清水 博之


 グルメブームがおとずれ、食の多様化が進んだ昭和50年代、おいしい鶏肉を求める消費者の要望に応えるために、県養鶏試験場(現在の農林総合研究センター)が、在来種の大和シャモとニューハンプシャー、大シャモなどを交配し、昭和59年に作出したのが「タマシャモ」である(埼玉の「タマ」をとってタマシャモと名付けられた)。

 ブロイラーの肥育期間は8週程度であるが、タマシャモは肉が締まってうま味も出てくる16週令以上と、肥育に時間をかけており、歯ごたえのある食感、こくのある地鶏らしい味わいが好評である。


 平成3年から、同センターが肥育希望農家へのヒナの供給を始め、味にほれ込んだ生産者・流通業者・食鳥処理場の三者で平成13年にタマシャモ普及協議会を設立し、「彩の国地鶏タマシャモ」の認知度向上と生産拡大に取り組んできた。

 「彩の国地鶏タマシャモ普及協議会」の会長である尾島一正さんは、10年程前にタマシャモと出会い、その美味しさに衝撃を受けた。坂戸市で中国家庭料理店「穂久柳(ほくりゅう)」を営んでいるが、「人を感動させるような鶏肉をつくる」ことを目標に、実家の畑を農園にしてタマシャモを育てている。

 県内最大のタマシャモ肥育農場は深谷市の(有)レッドプルーム(約3,000羽飼養)で、代表は富沢秀年さんである。もともと富沢さん一家は肉牛の生産牧場だが、知人の紹介でタマシャモを見に行ったところ、あまりのかわいさに数羽もらってきたのが、肥育を始めたきっかけであった。長兄の伸五さんは肉牛生産を、次兄の広幸さんは同市でタマシャモを使った料理を提供する居酒屋「彩人(さいと)」を経営し、家族で生産拡大に取り組んでいる。


 また、県農林総合研究センターでは、ビタミンEが豊富な県産品・狭山茶の茶殻を乳酸発酵させたものをタマシャモに給与することにより、栄養的価値を高め、肉の鮮度保持効果を狙う試験を実施している。狭山茶を飼料添加する取り組みは、県立熊谷農業高校においても行われており、付加価値を付けたブランド化を目指している。


彩の国地鶏タマシャモ

地鶏らしい味わいが好評

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