★ 農林水産省から


平成18年食品ロス統計調査 (外食産業調査)結果の概要


調査の背景

 わが国は、飽食ともいうべき豊かな食生活を享受する中で、鮮度の保持などに対する必要以上の強いこだわり、これらに対応した食品産業における廃棄や売れ残りを前提とした仕入れなどの影響もあり食品の廃棄や食べ残しなどの、いわゆる食品ロスの大量発生が問題となっている。このうち世帯における食品ロス率を世帯員構成別にみると、単身世帯は、最も高く5.0%であるが、2人世帯では4.5%、3人以上世帯では3.7%、高齢者のいる3人以上の世帯も4.3%となっている。(平成17年度調査)

 さらに、食品の製造、外食産業、食品小売業などの食品産業の各段階で発生する食品廃棄物は年間約1,100万トンに上ると推計される(平成18年「食品循環資源の再生利用等実態調査結果の概要」)。このような大量の食品ロスは食糧資源の有効利用、環境への負荷の低減、ひいては社会経済全体のコスト低減などの観点から問題である。

 このため農林水産省では、食品の廃棄や食べ残し、食事状況を把握し、食生活見直しに向けた運動の展開を進めるための資料として、平成12年から食品ロス統計調査を実施している。


調査の仕組み

 食品ロス統計調査(外食産業調査)は、外食における食べ残しの実態などを明らかにするために実施しているものである。

 本調査の、食堂・レストランは、東京都特別区、名古屋市、大阪市など全国の大都市のうち11都市にある100店舗で、結婚披露宴・宴会・宿泊施設は、全国の事業所から、それぞれ40事業所を有意抽出した。調査期間は、18年9月から10月にかけての間の1日に行った。ここでいう食堂・レストランとは、日本料理店、西洋料理店、中華料理店をはじめとする店舗のことであり、ファーストフード店などは含まない。

 調査の方法は、各店舗毎に調査対象とするメニューに使われた食品の重量と、食べ残された重量を計量して行った。なお、以下で述べる「食べ残し量の割合」とは、この食べ残された重量を、メニューに使われた食品の重量で割ったものである。


調査結果の概要

1.食堂・レストラン
・食品類別の食べ残しの割合
 食堂・レストランにおける食べ残し量の割合は3.1%(食品使用量556.9グラム、食べ残し量17.1グラム)で、ほぼ前年並みであった。主な食品類別にみると野菜類が4.2%と最も高く、次いで魚介類3.1%、卵類2.9%となっている。一方、肉類は2.5%と、主な食品類の中では最も食べ残し量の割合が低くなっている。
また、業種別にみると食品使用量が最も多いのは「中華料理店」の660.7グラムであったが、食べ残し量の割合は、「日本料理店」が4.3%と最も高かった。

 主な調理品別に食べ残し量の割合をみると、「野菜が主体の料理」(野菜炒め、漬けもの、サラダなど)が、5.2%と最も高く、次いで「スープ類」が4.8%、「魚介が主体の料理」(焼き魚、刺身など)が4.1%となっている。また、「肉が主体の料理」(焼肉、ハンバーグなど)は2.6%となっており、そのうち「鶏肉料理」は4.0%、と、「牛肉料理」(1.7%)や「豚肉料理」(2.6%)に比べ高くなっている。(図1)

 図1 主な調査品別食べ残し量の割合  

 さらに、主な調理品別に食べ残しのあった食数の割合をみると、「麺が主体の料理」が16.1%と最も高く、次いで「豆及び豆腐が主体の料理」(15.5%)、「野菜が主体の料理」(14.7%)となっている。

 このうち、肉やたまごが主体の料理の食べ残し割合は、それぞれ11.0%、8.5%であったが、その食べ残し状況をみると調理品の半分以上を食べ残す割合は、「肉が主体の料理」で6.3%、「たまごが主体の料理」で23.2%となっており、「肉が主体の料理」は他の調理品に比べ半分以上を残すことは少なかった。

※「肉が主体の料理」(焼肉、ハンバーグ、ステーキ、角煮、とんかつ、肉団子など)
  「たまごが主体の料理」(卵焼き、目玉焼き、オムレツ、茶碗蒸しなど)

2.結婚披露宴・宴会・宿泊施設
 結婚披露宴における1食当たりの食品使用量は2,229.7グラム、食べ残し量は501.8グラム、食べ残し量の割合は22.5%であった。(図2)

 図2 主な食品類別食べ残し量の割合(結婚披露宴)  

 宴会における1食当たりの食品使用量は1,877.2グラム、食べ残し量は285.0グラム、食べ残し量の割合は15.2%であった。(図3)

 図3 主な食品類別食べ残し量の割合(宴会)  

 宿泊施設における1食当たりの食品使用量は682.3グラム、食べ残し量は88.9グラム、食べ残し量の割合は13.0%であった。(図4)

 図4 主な食品類別食べ残し量の割合(宿泊施設)  

 主な食品類別の食べ残し量の割合をみると、宴会では、大きな差はみられなかったものの、結婚披露宴では、肉類が他の食品よりも低く、宿泊施設では高い傾向があった。

・調理品別の食べ残しの状況
 主な調理品別に食べ残し量の割合をみると、結婚披露宴では「豆及び豆腐が主体の料理」が58.2%と最も高く、次いで「パンが主体の料理」(29.9%)、「果実が主体の料理」(28.8%)となった。宴会では、「菓子・デザート類」が20.0%と最も高く、次いで「スープ類」(18.6%)、「野菜が主体の料理」(16.5%)となった。また、宿泊施設では「野菜が主体の料理」が20.5%と最も高く、次いで「肉が主体の料理」(18.6%)、「果実が主体の料理」(16.9%)となった。(表1)

 表1 主な調理品別食べ残し量の割合(宿泊施設)  

 特に肉やたまごを主体とした料理に着目すると、「肉が主体の料理」提供量は結婚披露宴で88.5グラム(牛:豚:鶏=110.3グラム:39.7グラム:64.2グラム)、宴会で87.5グラム(牛:豚:鶏=144.0グラム:85.7グラム:73.0グラム)、宿泊施設で101.3グラム(牛:豚:鶏=121.1グラム:80.9グラム:53.1グラム)となり、「卵が主体の料理」提供量は、それぞれ95.6グラム、95.4グラム、65.7グラムとなった。

 このうち結婚披露宴における「肉を主体とした料理」の食べ残し量の割合は18.3%、宴会で14.7%、宿泊施設で18.6%となり、「たまごを主体とした料理」では、そ
れぞれ24.7%、10.6%、10.9%となった。


(参考)外食産業における食品廃棄物の再利用状況

 平成18年11月に公表された「食品循環資源の再生利用等実態調査結果の概要」によると、平成17年度の食品廃棄物等の年間発生量は、1,136万2千トンと前年並みとなったが、その再生利用率は食品産業全体で59%と前年に比べ8ポイント増加し、12年度以降増加傾向で推移している。

 このような中で再生利用の用途別仕向け割合は、「肥料化」が39%と最も高く、次いで「飼料化」が35%となっている。業種別にこの内訳をみると、食品製造業、食品卸売業、食品小売業では「肥料化」「飼料化」仕向けが大半を占めていたが、外食産業では、再生利用への取り組みを行っている事業所数が全体の3割と他の業種に比べて高かったにもかかわらず「肥料化」「飼料化」仕向けの割合は低くなっている。(図5)

 図5 再生利の用途別仕向け割合
 

 この調査の中で、外食産業における再生利用を推進するに当たっての課題として、(1)再生利用に要するコストの低減、(2)食品廃棄物等の保管場所の確保や臭気対策、(3)異物の除去等分別の徹底、(4)再生利用業者、施設、製品、利用先等の確保などが挙げられている。

 なお、詳細なデータ等については、農林水産省ホームページhttp://www.maff.go.jp/の「施策の動き・情報>>統計データに掲載している。

 


元のページに戻る