トピックス

●●●肉用子牛生産者補給金(18年度第3四半期)、全品種交付金なし●●●

 農林水産省が平成19年1月19日に公表した18年度第3四半期(10〜12月)の指定肉用子牛の平均売買価格によると、黒毛和種が530,200円/頭、褐毛和種が386,900円/頭、その他の肉専用種が254,400円/頭、乳用種が115,100円/頭、交雑種が258,700円/頭となり、5品種すべて保証基準価格を上回った。生産者補給金が全品種そろって交付されなかったのは、平成18年度第1四半期(4〜6月)以来2期ぶりとなる。

 肉用子牛の価格は、米国産牛肉の輸入再開後も高値で推移しており、BSE発生以降、最も高い水準となっている。黒毛和種の子牛取引頭数(機構調べ)を見ると、年度累計(4〜12月)は、266,027頭(前年同期比1.1%増)と前年同期をわずかに上回って推移するにとどまっており、依然として高水準で推移する枝肉卸売価格が肉用子牛価格の高値安定の要因となっている。

表1 指定肉用子牛の平均売買価格(18年度第3四半期)

 

●●●18年(1〜12月)の牛肉輸入量、米国産牛肉はばらのシェアが低下●●●

 財務省の平成18年12月の「貿易統計」によると、18年(1〜12月)の牛肉輸入量(部分肉ベース)は、全体(煮沸肉、ほほ肉、頭肉を含む)で461,248トン(前年比0.1%増)となり、前年とほぼ同水準となった。冷凍牛肉は、9月まで前年を下回るペースで推移していたが、干ばつにより出荷が前倒しされ豪州からの輸入が増加、10〜12月には53,181トン(前年同期比21.3%増)が輸入された。この結果、18年の冷凍牛肉の輸入量は237,464トン(同3.2%増)となった。一方、生鮮・冷蔵は223,128トン(前年比3.1%減)となった。

 輸入量を国別に見ると、豪州産は406,097トン(同1.4%減)、ニュージーランド産が37,936トン(同0.1%減)となり、シェアはそれぞれ88.0%、8.2%となった。

 17年は中南米を中心としたその他の国(米国、カナダ、豪州、ニュージーランドを除く。)からの輸入量が前年比194.6%増と大幅な伸びを見せたが、18年は同41.4%減の7,806トンとなった。これは、18年7月に米国産牛肉の輸入再開が決定されたことが要因の一つと考えられる。

 その米国産は、8月以降5カ月間で6,698トンが輸入され、一時再開されていた1月分と合わせ7,321トンが輸入された。米国産牛肉の月別輸入量は、徐々に増えてきているものの、輸入停止前の10分の1程度の数量にとどまっている。また、米国産部分肉輸入量の部位別シェアについて、輸入禁止前の15年と18年を図1で見ると、ばらのシェアは70.1%から61.2%に低下し、かた、うで、ももが23.7%から32.3%へ上昇している。



図1 米国輸入量 部位別シェアの比較

資料:財務省「貿易統計」

 

●●●18年(1〜12月)の豚肉輸入量、前年を大幅に下回る●●●

 財務省「貿易統計」によると、平成18年12月の豚肉の輸入量は、冷蔵品18,869トン(前年同月比11.1%増)、冷凍品40.858トン(同8.7%増)、合計で59,737トン(同9.4%増)となった。これにより18年(1月〜12月)の豚肉の輸入量合計は72万5千トン(前年比17.0%減)となった。17年は、前年に引き続き輸入牛肉の代替需要などから豚肉輸入量が増加したが、18年は北米での現地価格の高騰やEU域内流通の変化などの要因により大幅に減少した。

 輸入量を主要国別にみると、米国が25万トン(シェア35%)、デンマークが17万トン(同23%)カナダが15万トン(同21%)となり、それぞれ12%、22%、27%減と大幅に前年を下回った。

 一方、前年ベースを維持しているのは輸入新興国であるチリ、メキシコで、それぞれ5万トン(同2.2%減)、4万トン(同14.9%増)となった。

 チリとはEPA交渉の前提として18年9月に、首席交渉官会合で大筋合意がなされ、署名に向けた法的整理作業を実施中である。チリ側の最大の関心品目は、輸入量の多いぎんざけ、ますなどの魚類(17年輸入実績:11万2千トン)であるが、関心品目には豚肉(同:5万2千トン)、鶏肉(同:6千トン)、牛肉(同:3千トン)が挙げられているところである。

 また、メキシコとの間では17年4月にEPA協定が発効されており、従価税を4.3%から2.2%とする豚肉の特恵輸入枠を17年度の3.8万トンから21年度に8万トンとする措置が採られている。

 

図2 豚肉の国別輸入量(1〜12月合計)

資料:財務省「貿易統計」


 

●●●18年の子取り用雌豚頭数、大規模層(千頭以上)が12.6%増加●●●

 (社)日本養豚協会の「子取り用雌豚飼養頭数と戸数」調査によると、平成18年8月1日現在の子取り用雌豚の飼養頭数は、900,974頭と前年を1.5%下回った。

 これを子取り用雌豚の飼養頭数規模別に見ると、1,000頭未満の飼養規模層が前年の頭数に比べ6.5%程度減少する一方、1,000頭以上の層が12.6%とかなり大きく増加しており、引き続き大規模層が頭数を増やしている。この傾向は平成11年以降変わっていない。(図3)

 特に18年は、1,000頭以上の層の増加率が、前年の7.5%に比べても大きくなっており、小規模層の減少を補う形での増頭が伸展している。この結果、119戸の1,000頭以上の層は、戸数シェアでは1.7%であるが、頭数シェアでは、26.7%と全体の4分の1を上回っている。

 14年を基準に子取り用雌豚飼養頭数の推移を地域別に見ると、増加傾向にあるのは、九州、沖縄地域で、4年連続して上伸している。この地域は、1,000頭以上の層が3割以上を占めており大規模経営の先進地域といえる。

 また、17年まで減少していた東海地域は、200〜500頭の中規模層を中心として、前年に比べわずかに増加した。

 反対に、減少率が大きいのは近畿、北陸、中四国地域で、前年に比べ、それぞれ10.4%、5.5%、4.9%の減少となっており、特に減少の大きい近畿地方では、20〜50頭規模層が前年に比べ3割以上も減少するなど小規模層の減少が大きかった。(図4)

図3 子取り用雌豚の飼養頭数
(各年とも8月1日現在)

図4 地域別子取り用雌豚飼養頭数の推移
(14年=100)

資料:(社)日本養豚協会(経営動向調査「子取り用雌豚飼養頭数と戸数」)
注:18年から調査実施主体が中央畜産会から日本養豚協会となり、調査方法が異なる。

 

●●●宮崎県清武町に続き、日向市、岡山県高梁市、宮崎県新富町で高病原性鳥インフルエンザ発生●●●

 1月11日に宮崎県清武町で高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が発見され、1月13日に同疾病と確認された。清武町を含め以下の4地域で同疾病が発生しているので、その概要を記す。

宮崎県清武町
 1月13日 宮崎県清武町の採卵種鶏農場で高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型のA型、強毒タイプ)の発生が確認され、飼養種鶏約1万2千羽を殺、焼却処分し、16日までに発生農場の防疫措置が完了した。

 1月28日、第2次清浄性確認検査の結果移動制限区域内のすべての農場(11農場)や愛玩鶏飼養場で陰性が確認され、2月3日に移動制限区域を半径5キロメートルに縮小。
防疫措置完了から21日経た2月7日は移動制限措置が解除された。

宮崎県日向市
 1月25日 宮崎県日向市東郷町の肉用鶏農場(約50,000羽飼養)で高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型のA型、強毒タイプ)の発生が確認された。このことから、半径10キロメートルに移動制限区域を設け、飼養鶏を殺、埋却処分すると同時に周辺農場の立入検査を実施した。

 発生区域は、養鶏場密集地域(肉用鶏主体)にあり、移動制限区域内には約21農場、約51万羽が飼養されていた。

 2月4日現在、移動制限区域内の農場などの第1次清浄性確認検査を実施した結果、異常は認められていない。

岡山県高梁市
 1月29日 岡山県高梁市川上町の採卵鶏農場(約12,000羽飼養)で高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型のA型、強毒タイプ)の発生が確認され、飼養種鶏1万1千羽を殺、焼却処分。

 1月31日には殺処分が完了し、2月1日、清浄性が確認されたことから出荷制限を解除。

 2月7日現在、発生農場の防疫措置が完了し、2月8日には結果移動制限区域を5キロメートルに縮小した。

宮崎県新富町
 2月1日 宮崎県児湯郡新富町の採卵鶏農場(約93,000羽飼養)で高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型のA型、強毒タイプ)の発生が確認され、飼養種鶏を殺、埋却処分。

 2月6日現在移動制限区域内の36農場などの清浄性を確認し、8日移動制限区域を縮小している。

 以上4件の事例では、関係者の尽力により 日現在、周辺農場へのまん延が食い止められており、その早期通報、発生地域限定により「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(18年12月21日現在)の防疫措置のうち病原体の拡散防止措置などを勘案した例外規定が採用され、所定の制限期間より早く制限区域の縮小が行われることにより、鶏卵や鶏肉の移動・搬出が早期に再開されている。

                        

図5 19年1月以降の鳥インフルエンザ発生状況(19年2月15日現在)

 

●●●牛乳生産量は28カ月連続で前年同月を下回る●●●

 農林水産省の「牛乳乳製品統計」によると、平成18年12月の生乳生産量は、北海道312,121トン(前年同月比4.3%減)、都府県355,340トン(同2.4%減)となり、全国では667,461トン(3.3%減)となった。減産計画の下、生乳生産量は10カ月連続で前年同月を下回り、また牛乳等向け生乳処理量は28カ月連続で前年同月を下回った。(図7)POS情報によるレジ通過客千人当たりの牛乳の販売数量(普通牛乳、低温殺菌牛乳;1リットル紙容器)も29カ月連続で前年同月を下回っている(巻末資料参照)。低脂肪牛乳(1リットル紙容器)は前年同月をかなり上回って推移しているものの、加工乳(低脂肪タイプ、濃厚タイプ;同)は前年を下回る水準で推移している。

 このように牛乳消費が伸び悩む中、牛乳の消費に関する新しい試みとして、ペットボトルを牛乳の容器として承認する動きが生じている。現在、食品衛生法に基づき、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)により定められた規格基準に従って、ペットボトルを包装容器として牛乳等に使用することは認められていない。今回、内閣府の食品安全委員会は、厚生労働省の依頼に応じて、牛乳等の容器としてのペットボトルの安全性に対する評価をまとめた。その中で「すでに食品等に使われているポリエチレンテレフタレート(PET)、並びに乳等省令乳製品および調製粉乳に使用されているPETの安全性は、容器に入った牛乳が適切な条件下で管理される限りにおいて、牛乳等に使用してもその安全性が確保される」との判断を示しており、今後の展開などが注目されている。

図6 全国生乳生産量の推移と牛乳の小売り動向

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」POS情報
注:販売数量は、牛乳(普通牛乳、低温殺菌牛乳)、加工乳(低脂肪タイプ、濃厚タイプ)、LL牛乳、
白もの乳飲料、低脂肪牛乳の合計

 

●●●18年の標準取引価格平均は176円、補てん金は、1、7月に交付される●●●

 (社)全国鶏卵価格安定基金などよる12月の標準取引価格は214.86円(前年同月比13.0%高)となり、18年の月最高値となった。その後、年末年始の休みが続き、荷がかさむことにより鶏卵の初値価格は通常より低価格で開始されるが、19年1月5日の初値は145円(東京、M)(同1.3%高)と、比較的高水準なスタートとなった。

 また、18年1〜12月の平均標準取引価格の平均は176.07円となり、昨年に引き続き高い価格水準となった。(図7)

 このように卵価が高水準であったことから、18年は1,7月に1キログラム当たりそれぞれ、18円、8円の補てん金交付が実施された。

図7 最近の鶏卵価格(東京/M)の推移

資料:(社)全国鶏卵価格安定基金及び(社)全日本卵価安定基金


元のページに戻る
月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る