需給動向 海外

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牛乳・乳製品などのHICPは過去1年間に14.9%上昇


◇絵でみる需給動向◇


食品、食肉と比較しても顕著な上昇

  欧州委員会が公表した統計資料によると、過去1年間(2007年5月〜2008年4月)の牛乳・乳製品など(卵を含む。以下同じ。)の季節調整済み消費者物価指数(HICP:Harmonized Indices of Consumer Prices)の上昇率は14.9%で、全体のHICP(3.6%)はもとより、食品(7.1%)や食肉(4.1%)のものよりも高くなった。

  食品のHICPが大きく上昇したのは、近年の穀物相場高騰や中国などの新興経済諸国における人口の増加、都市化の進展、食生活の変化などを背景として世界的に農産物需要が高まっていることが影響していると考えられる。牛乳・乳製品などについては、これらの要因に加え、EU域内でチーズや発酵乳などの乳製品需要が高まる中で過去2年間にわたってEU全体の生乳クオータが未達であったことにより需給がひっ迫し、HICPがさらに上昇したことがその背景にある。

  これを加盟国別にみると、ほぼすべての加盟国において牛乳・乳製品などのHICPの上昇率が食品および食肉のものよりも相対的に高くなっており、このことから、牛乳・乳製品などの小売価格の顕著な上昇はEU加盟国共通の現象となっていることがうかがえる。なお、ブルガリア、ラトビア、エストニア、リトアニアなど2004年5月以降に加盟したいわゆる新規加盟国における上昇率の高さが目を引くが、これは経済の統合などそのほかの要因も影響していると考えられる。

消費者物価指数の年間の上昇率
(2007年5月〜2008年4月)


高止まりが見込まれる牛乳・乳製品などの小売価格

  最近では、EU域内において生乳の増産に向けた動きが進みつつあるが、その動きが生産量の増加に結びつくまでには、乳用牛の増頭、妊娠、分娩という一連のステップを踏む必要があるため、タイムラグが必然的に生じる。新興経済諸国における農産物需要の拡大傾向とあわせて考えると、EU域内の牛乳・乳製品などの小売価格は当面高止まりが見込まれる。

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