需給動向 海外

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新規加盟国を中心に繁殖母豚の飼養頭数が大幅に減少


◇絵でみる需給動向◇


主要豚肉生産国ではポーランドの減少が顕著

 EUにおける豚飼養頭数の減少が2004年5月以降に加盟した新規加盟国(以下「新規加盟国」という。)で顕著となっている。肥育豚を生産する繁殖母豚の飼養頭数は、EU全体(EU27)では2007年から2008年にかけて約10%減少しているが、特に新規加盟国において減少率が高くなっている(図1)。新規加盟国の養豚は経営基盤がぜい弱な小規模経営が主体であり、2008年前半の豚肉価格の低迷と飼料、燃料などの生産資材価格の高騰によりこれらの経営が大きな打撃を受けた模様である。

 主要豚肉生産国の中では、ポーランドの飼養頭数減少が顕著となっている。近年は、大半の主要豚肉生産国の豚飼養頭数が横ばいないし微減で推移している中で、飼養頭数第3位のポーランドは2007年以降飼養頭数を大きく減少させている。ほかの主要豚肉生産国では生産の集約(規模拡大)が進んでいる中で、ポーランドの1戸当たりの平均飼養頭数は31頭(2005年)と小規模経営が主体となっており、小規模経営の離脱を補うような大規模経営の発達が進んでいないことから、2009年もこの傾向は続くと予想される。

繁殖母豚飼養頭数の変化率(2008/2007)

デンマークでは豚肉加工施設の集約の動き

 主要豚肉生産国の一つであるデンマークの最大手の食肉メーカーであるDanish Crownは、2009年2月、豚のと畜頭数の減少が今後も継続すると見込まれることから、複数の豚肉加工施設を閉鎖し、既存施設への集約を図ることを発表した。デンマークにおける豚の飼養頭数自体が減少していることに加え、近年豚生体(子豚・肥育豚)のドイツへの輸出が急増しているため、デンマーク国内でのと畜頭数の減少は避けられないと判断した模様である。デンマークの豚肉産業では高水準の人件費による経営の圧迫が課題となっており、より有利な条件を求めて生体を隣国ドイツに輸出し、同国においてと畜・加工する動きが活発化している。実際、デンマークからドイツ向けの生体輸出(重量換算)は、2006年の13万5千トンから2007年の17万1千トンと大幅に増加しており、2008年の輸出頭数は5百万頭に上るとみられている。

主要豚肉生産国の豚飼養頭数の推移
デンマークからEU加盟国への豚生体の輸出動向

 


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