需給動向 海外

◆米 国◆

2009年、2010年と続けて豚肉生産量は減少する見込み


◇絵でみる需給動向◇


豚総飼養頭数は3四半期連続で前年を下回る

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2009年6月26日に公表した豚飼養動向調査「Quarterly Hogs and Pigs」によると、6月1日現在の豚総飼養頭数は繁殖豚頭数および肥育豚頭数の減少などにより前年比2.0%減の6607万9千頭となり、3四半期連続で前年を下回った。

繁殖豚頭数は生産調整の実施により減少

 繁殖豚頭数は、スミスフィールド社など大手生産者がとう汰を実施したことから、2008年6月以降5四半期連続で前年を下回り、2009年6月1日現在では596万7千頭(前年比2.7%減)となっている。母豚分娩頭数も2008年6月以降一貫して前年同月を下回って推移し3〜5月の累計では297万1千頭(前年同期比2.6%減)となっていたが、4月(前年同月比1.2%減)、5月(同1.6%減)と減少幅は縮小している。また、6月〜8月の母豚分娩見込み頭数は297万4千頭(同3.3%減)、9月〜11月は同296万2千頭(同2.2%減)となっている。

 一方、1腹当たりの産子数は衛生環境の改善などから近年増加傾向で推移しており、3〜5月は9.61頭(前年同期比2.5%増)と過去最高を記録した。このような産子数の増加は生産調整の効果を減じる要因となることから、今後の需給改善を図るためには、さらなる母豚とう汰の必要性が高まっている。

図1 母豚分娩頭数の推移

肥育豚頭数の減少はカナダからの 肥育素豚輸入の減少が大きな要因

 2009年1月〜5月の子豚生産頭数が前年同期比99.5%にとどまる一方、6月1日現在の肥育豚飼養頭数は6011万2千頭と前年を1.9%下回った。これは肥育素豚の輸入頭数が減少していることが大きく影響している。米国が輸入する生体豚のほぼすべてがカナダからのものであるが、同国からの生体豚輸入頭数は現地での飼養頭数が生産調整により減少していることに加え、2008年9月30日から実施された米国の食肉原産地表示の義務化の影響を受けて大幅に減少している。その内訳を見ると、カナダからの肥育素豚(約50キログラム未満)の輸入は2008年11月以降7カ月連続で前年同月を下回っており、12月から直近の4月までの累計は前年同期を21.6%下回った。

 また、カナダからのと場直行豚も、12月〜4月の累計で前年を63.6%下回り、4月単月では57.1%下回った。

図2 肥育素豚輸入頭数の推移
図3 と場直行豚輸入頭数の推移

豚肉生産量は2010年も減少傾向で推移する見込み

 肉豚と畜頭数は、飼養頭数およびと場直行豚の輸入頭数の減少を受けて本年1月以降前年を下回って推移しており、5月は6.7%減となった。1頭当たりの枝肉重量は本年1月以降前年をわずかに上回って推移しているものの、と畜頭数の減少分を相殺するまでには至らず、枝肉生産量は前年を下回って推移しており、5月は5.5%減の77万8千トンとなった 6月17日に公表されたUSDA/ERSの予測によると、2009年の豚肉生産量は前年比2.6%減の1031万7千トン、2010年も前年を1.8%下回る1013万5千トンと減少傾向が継続するとしている。

 


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