需給動向 国内

◆牛 肉◆

価格低迷の中、家計消費の購入数量は4カ月連続で前年同月を上回る


◇絵でみる需給動向◇


 21年7月の牛枝肉卸売価格(東京市場)は、前年同月を大きく下回った。去勢和牛A−5規格は、キログラム当たり2,195円(前年同月比6.2%安)と15カ月連続の前年割れであり、A−3規格では同1,438円(同8.6%安)と17カ月連続で前年同月を下回っている。B―3規格の交雑種去勢牛は1,120円(同7.7%安)、乳用種去勢牛が681円(同12%安)といずれも下落傾向が続いており、卸売価格の上昇は見られない。

 また、小売価格(東京)も、総務省「小売物価統計調査報告」で見ると、7月は国産牛肉(ロース)が100グラム当たり870円(同3.3%安)、8月は同880円(同1.5%安)と20年11月以降ほぼ前年同月を下回って推移しているほか、冷蔵輸入牛肉(ロース)も7月は同362円(同8.1%安)、8月は同346円(同5.8%安)と2カ月連続で前年同月を下回る水準で推移し、全般的に値下がり傾向となっている。

 このような状況の中で、7月の消費動向について総務省「家計調査報告」で見ると、全国1人当たりの牛肉購入金額は487円(同6.0%減)とかなりの程度減少したが、購入数量については前年同月をかなり大きく上回る183グラム(同10.4%増)となった。牛肉の家計消費は、4月以降、購入金額が前年同月並もしくはわずかに下回っている一方で、購入数量は前年同月を連続して上回って推移している(図1)。また、当機構調べの推定出回り量の4〜7月累計では、国産品は119,763トン(同1.9%増)とわずかな伸びにとどまっているのに対し、輸入品は同165,004トン(同4.4%増)とやや上回っており、消費が伸びているのは、割安感のある輸入牛肉を中心に消費されていることなどが考えられ、国産牛の消費は引き続き伸び悩んでいることがうかがえる。

 なお、消費拡大キャンペーンで8月末から開催されている国産牛肉まつり(8月29日〜10月31日)などにより、今後一層の牛肉の消費拡大が期待される。

図1 牛肉家計消費(全国1人当たり)の対前年比の推移



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