需給動向 国内

◆豚 肉◆

供給量の増加により豚枝肉卸売価格は低迷続く


◇絵でみる需給動向◇


 豚枝肉卸売価格は、21年8月中旬以降、キログラム当たり400円を下回って推移している。農林水産省「食肉流通統計」によると、豚枝肉卸売省令価格の東京・大阪加重平均価格は、キログラム当たり、4月は410円(前年同月比26%安) 、5月は481円(同15%安)、6月511円(同15%安)、7月487円(同18%安)と推移していたが、8月は400円前半〜300円後半となり、月平均価格は397円(速報値、同31%安)と、安定基準価格の400円を下回る事態となった(図2)。

 通常であれば、夏場は暑熱の影響で生産量は低水準にあるが、今年は低温などの天候不順により肥育豚の発育が良いことや、事故率の低減などが生産量の増加につながった。農林水産省「肉豚生産出荷予測」によると、8月の全国出荷予測頭数は129万1千頭と前年同月を7%上回り、9月は133万5千頭と同1%下回るが、7〜9月の累計出荷予測頭数は399万9千頭と、同4%の増加を見込んでいる。このことから、しばらくは豚肉供給量は増加するものとみられる。また、推定期末在庫量(機構調べ)は3ヵ月連続で20万トンを超えており、特に国産品の在庫は前年同月を29.5%上回る2万9千トンと、大量の在庫を抱えていることも、価格の低下を招いている。

 例年、秋以降は、豚肉生産量が増加する一方で、サンマなど大衆魚の消費量が増加するなどの要因から価格が下降する傾向にあり、今後の豚枝肉卸売価格の動向が注目されている。

図2 豚肉卸売省令価格の推移(東京・大阪加重平均)

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